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トライアウトでも“新庄節”炸裂! ビッグボスの御眼鏡にかなった選手たちの「想い」は――

新庄監督(左)じきじきにトライアウトを視察。“天才打者”・山下(右)をはじめ、気になる選手もいたようだ。写真:塚本凛平(THE DIGEST)
12月8日に行なわれた「12球団合同トライアウト」。参加選手以上に注目を浴びたのが、日本ハムの新監督に就任した新庄剛志だ。自ら球場に足を運んで視察に訪れると、ビッグボス流の目線で選手たちを評価した。

午前の部を終えてインタビューに応えた新庄監督は、「全員欲しいですね! 僕がプロになりたくて受けて、気持ちすごい分かる」と笑顔で回答。昨年に異例のトライアウト挑戦を敢行した経験から、「少しでも良いところをと見てました」と選手の動作をチェックした。

なかでも、今季台湾でプレーした元阪神の右腕・高野圭祐の「芯を外すカットボール」を「目についた」と高評。さらに最速147キロの速球とスライダーを武器に無安打投球の元オリックスの金田和之も「リズムの良さまっすぐのキレ」を評価。「多分、変化球でストライク取れずにまっすぐ打たれてここに来てる。修正できたら」と、改善点も口にした。

野手では、左打者ながら左腕からヒットで計3安打、凡打も芯でボールを捉えていた元楽天の中村和希には「左バッターで打った後、ファーストまで4秒3かかってたんでその点は惜しい」としながらも、「ミート力はものすごくあって面白いかな」。

また、「ファームで首位打者とってるんですよね。面白いですね」と、巨人の育成契約提示を蹴ってトライアウト挑戦の山下航汰にも興味を示し、「肩が気になったので、もしウチが獲るのであれば、DHとかでも面白い」と具体的にコメントしている。
その一方で、新庄ビッグボスらしく“注文”をつけるシーンもあった。

「後半は細かいところまで見たい。野手のスタートのステップ見てるけど、まだアピールが足りないですね。例えばフライ上げてからのセカンドまでの足のスピードとかチェックしている」

「もっとアピールしてほしい。ウォーミングアップ一つでも足の回転さえよければ面白いってなるし、キャッチボールでも外野のライトとセンターで、ものすごいボール投げてれば、んん!って思うのに」

独特な表現で各選手たちに貪欲さを求めるあたりは、さすがだろうか。 そして最後に、新庄監督は「昨年、僕がトライアウト受けて、まさかの監督ですよね。この選手たちも来年監督になるチャンスあるかも」と真っ白な歯をのぞかせて談話を終えた。

【動画】輝きよ再び! 天才・山下、“全盛期”の完璧ホームランがこれだ 果たして、新庄監督に名前を挙げられた各選手は、このトライアウトをどう振り返っているのだろうか。

金田は「今の自分ができることは出せた。でピッチャーはトータルなので、変化球もしっかり投げられることをアピールして、自分の持ち味の真っ直ぐもしっかり投げられた」と総括。高野は「武器のフォークを見せられた。一年間、海外でプレーしていたが、一日たりともNPBを忘れたことはなかった。絶対どこかのチームで投げて活躍したい」と目を輝かせた。

高卒1年目で二軍の首位打者に輝いた21歳の山下は、「うまく捉えた打席もあったんですけど、正面を突く打球が2本ぐらいあったので、ちょっと惜しかったというかもったいなかった」と悔やみながらも、「(実力は)出せたと思います」とアピール成功を強調。新庄監督に“惜しい”と評価された中村も「(新庄BBと)やらせてもらいたいですね、一緒に!」と笑顔を見せ、NPB復帰の吉報を待ちわびた。

DeNAから高卒3年目で戦力外となった後、琉球ブルーオーシャンズで2年間の研鑽を積んだ大河はこの日、1安打2盗塁、守備でもショート、セカンドでアピールし、第一声は「野球楽しめてホッとしている」とコメントした。

「(2つの盗塁は)行けたら行く、アピールするしかないですか。自分のスイング、積極性ができたかなと思います。2年前なら真っ直ぐに差し込まれていたところを打ち返す、守備ならスローイング。変わったなと思ってもらえれば」
球界最強打者・鈴木誠也がプロ入りした2012年ドラフトで広島の1位だった高橋大樹もトライアウトに参戦。良い当たりがありながらもノーヒットに終わり、「なかなかヒットにならず悔しい。ヒットゾーンに行かなかったのは捕まえきれなかったこと」と悔やんだ。

一方、今季93試合に出場しながら中日戦力外となった武田健吾はマルチヒットの活躍。「ほんとに悔しかったので、最後トライアウトまでしっかり行けて、終わりだったら後悔はない」と晴れやかな表情を見せている。

阪神や西武で活躍した35歳の左腕・榎田大樹は1安打ピッチングに「安打は打たれたが、満足して投げられたと」と振り返り、春に左手の親指を粉砕骨折の影響は今はなく、「身体は元気というところを見せられた。あとはいいお話があれば」とコメントを残している。

トライアウトからNPBに向け、狭き門をこじ開けていく戦士はいるのだろうか。一人でも多くのプレーヤーに、再び脚光を浴びる日が来ることを願うばかりである。

取材・文●萩原孝弘

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