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絶妙アプローチにつながった馬場咲希の思考 全身“黒”着用にも秘密が…

馬場咲希はボギーフリーの安定したプレーを見せた(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

<Qシリーズ(米国女子ツアー最終予選会) 初日◇30日◇マグノリア・グローブGC(米アラバマ州)◇クロッシングズC=6664ヤード・パー72、フォールズC=6643ヤード・パー71>
 
グリーン手前に待ち構えたバンカーこそ回避したが、その内側にせり出すように伸びるラフからのアプローチで、馬場咲希の妙技が冴えた。これは初バーディを奪った4番パー5の3打目。左足上がり、ツマ先上がりの傾斜地から、ショートサイドに切られたピンを狙い、ピタリと1メートルにつけた。

このときの狙いをラウンド後、明かす。ピンまでは残り28ヤード。普段のアプローチで使用する58度のウェッジを握りたいところだが、「左足上がりなのでキャリーが出ないかもしれない。ライもあまりよくなかったので、ダフったりしないようにクラブを替えました」と、ここは54度を握った。すると「転がしみたいな感じ」というイメージ通りのボールが出て、スコアにつなげた。
 
グリーン周りは、日本でのプロテスト終了後から「試合が続いて、なかなかできなかったアプローチの練習をしてきました」と多くの時間を割いてきた部分。「特に番手を替えて打つアプローチの練習を最近していました」。それだけに「試合でうまくいったのはよかった」と、本人も納得の表情を浮かべる。
 
飛距離が注目を集めるが、その小技にも定評がある。大事な生命線になっており、普段から“遊び感覚”で寄せのバリエーションも試しているという。そして「芝もそうですけど、グリーンも難しいラインが多いし、打ち方を変えないといけないアプローチが必要」と、このコースでもしっかりと準備を進めてきた。
 
ショットの状態も良好。練習ラウンドでは、気温のせいもあり思ったような距離が出ないことを「受け入れられなかった」とも言うが、そんな不安もラウンドをこなすことで、自分のなかで消化した。「前半は特に思い切ってドライバーを振ることができたところが多い。そこはよかったですね」。アイアンやウェッジでのショットでも、次々とチャンスを演出し、3アンダー・13位タイと上位で滑り出すことに成功した。
 
「小さいころからの夢」という米国女子ツアーにつながっていく予選会。なかなかパターが決まらずに、少しナーバスになる時間も過ごしたが、「気持ち的に(ストレスが)溜まっていくところもあったけど、いろんなものを食べたり、空を見て放出しながらやっていました」と、スポーツようかんや、ゼリーを片手にこまめに気持ちも切り替えながらプレーしている。
 
6日間、計108ホールを行い、来季の出場権を争うこともあり、「長丁場なのでしっかり体力とメンタルを維持できるように頑張りたい」という部分も重要視する。先週の24日にはコース入りし、連日のラウンド。開幕前日にも18ホールを回り精力的に練習に取り組んできたが、ここからは“長距離走”に臨むような気持ちも必要になる。
 
この日は、全身黒色のウェアで統一したが、これにはこんな秘密が。「寒いですけど、きょうは黒のウェアを着て、日差しで暖かくなるようにしました。自分で考えましたよ…フフフ」。プロとしての妙技も、女子高生らしい表情も見せる18歳は、一歩一歩、夢に向かって突き進んでいる。(文・間宮輝憲)

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