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下部ツアー主戦場の平本世中「まさか首位とは…」 昨年A・スコットと回った経験がプラスに

バーディを奪って力強いガッツポーズを見せる平本世中(撮影:米山聡明)

<日本オープン 3日目◇14日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>

3日目を終えて単独トップに立ったのは、ツアー通算18勝の石川遼でもなく、今季2勝を挙げている中島啓太でもなく、下部のABEMAツアーを主戦場とする23歳の平本世中(ひらもと・せじゅん)だった。レギュラーツアーでの初めての最終日最終組が、この「日本オープン」となる。

ムービングデーは首位と3打差のトータル1アンダー・14位タイでティオフを迎えた。「いいリズムでスタートできた」と、1番でいきなり1.5メートルのチャンスにつけてバーディ発進を決めると、17番で20メートル近いバーディパットを沈めるなど、終わってみれば7バーディ・2ボギーの「65」を叩き出し、トータル6アンダーで首位に立っていた。「まさか首位で上がれると思っていなかった」と自分でも驚く。

今年はQTランキング59位でスタートし、下部のABEMAツアーを主戦場としてきた。ABEMAツアーでは最終戦を残して賞金ランキング4位につけており、このままなら来季のレギュラーツアー前半戦の出場権を獲得できる。

一方で、レギュラーツアーではここまで7試合に出場して予選落ちが4回。賞金ランキングは94位にとどまっている。この日本オープンがいまのところ、今年のレギュラーツアーに出場できる最後の試合だ。勝てば初シードどころか5年間の複数年シードが得られ、今後のプランがガラッと変わることになる。

「あとはパターだけだと思っていた」と最近はグリーン上が課題だったが、「(ストロークの)リズムが早くなっていた」ことに気づき、「テンポを変えて打つようにしたら良くなった」と、前週のレギュラーツアー「ACNチャンピオンシップ」から復調し、12位タイに入った。今日の17番でのロングパットにも、それが生きている。

さらに、昨年に初めて出場した日本オープンでは3日目に、憧れのアダム・スコット(オーストラリア)と回ったことも成長につながっている。大緊張のなか、大勢のギャラリーのなかで回ったのだ。

「ぼくはあまり英語ができないんですけど、ちょっと(スコットに)聞いてみたら『緊張はする』という話をしていた。大勢の観客に見られている状況を受け止めながらスコットは回っていたので、それが明日再現できればいいかなと思っています」。今年スコットは予選落ちに終わったが、その前に「軽くあいさつはできた」と平本。昨年一緒に回ったのをきっかけに、13年のマスターズチャンピオンとはSNSを相互フォローする仲だ。

泣いても笑っても明日の最終日で今後のゴルフ人生が左右される。「ABEMAツアーとレギュラーツアーってセッティングもお客さんの人数も変わるんですけど、自分のゴルフをやる核という部分は変わらないと思っているので、集中して。あまり“この舞台だから”って考えないようにしています」。スコットから学んだ平常心で日本一のタイトルを目指す。(文・下村耕平)

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