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石川遼はムービングデーも“全ドラ”「69」 前日ダボの6番で狭いフェアウェイを狙う理由

きょうも“全ドラ”で攻めた石川遼。2打差逆転で悲願のタイトルなるか(撮影:米山聡明)

<日本オープン 3日目◇14日◇茨木カンツリー倶楽部 西コース(大阪府)◇7315ヤード・パー70>

石川遼はムービングデーの3日目、3バーディ・2ボギーの「69」と1つ伸ばし、トータル4アンダー・3位タイの好位置で終えた。明日の最終日はトップを2打差で追って、日本オープン初制覇を目指す。

初日、2日目に続き、きょうもパー3を除く全ホールでドライバーを握った石川。昨日は左ドッグレッグの6番パー4で左の林の上からショートカットを狙ったボールがロストとなり、481ヤードと距離が長い11番パー4では右にOBが出て、2つのダブルボギーを叩いた。

11番はドライバーで打たないと、2打目が届かなくなる可能性もあるが、6番はコーナーを突き抜けないように、3番ウッドやユーティリティで飛距離を落とす選択肢のほうがセーフティに思える。なぜなら、ドライバーでのランディング地点は左から右に傾斜しており、ドライバーで右のラフに抜けないようにフェアウェイに止めようとすると、落とすスペースがかなり狭いからだ。

それでも石川は、今日も迷わずドライバーを握った。ボールは左のフェアウェイバンカーの上を超えて、フェアウェイのやや右サイドに止まった。“ここしかない”という場所だった。「ボギーのリスクを減らしながら、バーディの確率を上げていく」マネジメントに重点を置いてきた石川にとって、6番のドライバーでのティショットは少しギャンブル性が高いように思える。

確かに成功すれば、3番ウッドやユーティリティで刻むよりもはるかにバーディの確率は上がるのだが…。事実、6番のセカンドショットはウェッジで手前2メートルのチャンスにつけた。このパットは惜しくも外したが、バーディの匂いが強く感じられた。

そんな疑問を石川にぶつけてみた。「3番ウッドやユーティリティで打てば、ドライバーよりもフェアウェイに行く確率が上がるだけであって、トータルで考えるとドライバー。フェアウェイは狭いけど、ホール的には狭くない。左は狭いけど、右はラフで全部止まる。自分のなかではけっこう右のラフを受け入れています」と、右ラフOKのマネジメントだったと明かす。

しかし、右は広いといっても、メジャー仕様の剛ラフだ。ボギーのリスクはないのだろうか。「あのホールに関しては右のラフに抜けても、セカンドが花道を広く使えるアングルで狙っていけるんです。右のラフからちょっと低めのスライスで打つことを普段から練習しています」と、右ラフからのバーディルートもしっかりイメージできている。

2日目にロストとしたのは「風をフォローと間違えたため」。左のフェアウェイバンカーよりもさらに左の林を狙ったのだが、越えなかった。「きょうはアゲンストだったので、逆に右に抜けにくくなる」と、ギャンブルのように見えたドライバーでのティショットだが、実はしっかりとした計算の上に成り立っていた。「いいショットだから自信を持つ、ミスだったから自信を失うことではなくて、毎ショットをフレッシュな気持ちで、自分が普段からやっていることをやる」。それが表れた6番ホールの攻めだった。

「どこを狙ってどこに打つかは、好きに判断していいわけで、それをすごく試されるコンディション。日本で一番レベルが高いものを求められるのが日本オープンだと思います」と話す。その言葉通り、いままで培ってきた技術や経験を総動員してコースに挑んでいる石川。「胸が躍る」大会の最終日もすべてをぶつけていく。(文・下村耕平)

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