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三代続く“ゴルフ遺伝子” 今季絶好調のジャスティン・トーマス、父と祖父もプロゴルファーだった

「WGC-ブリヂストン招待」を制した際のトーマスファミリー(撮影:GettyImages)

昨季不振に陥ったジャスティン・トーマス(米国)だったが、今季は一転して好調な幕開けとなっている。初戦の「ザ・アメリカンエクスプレス」で3位タイに入ると、「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」で6位、「WMフェニックス・オープン」で12位と、安定した成績。復活優勝に期待がかかっている。今回はそんなトーマスのバックグラウンドを紹介しよう。

1993年4月29日、米国でもゴルフが盛んな州のひとつケンタッキー州ルイビルで、JTことジャスティン・トーマスは生まれた。のちに24歳でメジャー王者に輝く若き天才には、祖父の代から脈々と“ゴルフ遺伝子”が受け継がれている。

父・マイクは地元のハーモニーランディングCCのヘッドプロ、祖父のポールも隣州のオハイオで10代からクラブプロとして生計を立ててきたというまさにゴルフ一家で育った。

JTが初めてプレーに興味を示したのは「わずか1歳半だった」と父のマイクが振り返る。当時のマイクはヘッドプロとしての仕事をしながらも地元の試合に出場。そのため仕事を終えると夕方から自身の練習をしていた。そこに母・ジャニが毎日JTを連れて父が球を打つのを見ていた。「2歳の頃には毎日一緒にボールを打っていた」と父はり返る。

あるときマイクは自身のプロゴルフ人生を諦めて、「すべてジャスティンに与えよう」と方向転換。二人は毎日コースで過ごし、「父との練習の終わりにはチップ&パットコンテストをした。“お金”を賭けてね。並ぶ1ドル札を勝ち取ることが僕の課題だった」と勝つことに必死になる日々を送った。

JTに技術を徹底的に教え込んだのは父のマイクだが、一方で祖父・ポールについて、「ぼくのメンタル面を大きく支えてきた。祖父の声は何よりもハッピーにしてくれる」と語る。ケンタッキー州で生まれたポールは、裕福な家庭とはほど遠く10歳でキャディとして働き始めた。10代で「家計を支えるため」にプロ転向。ツアープロとしては成功しなかったが、1960年代にアーノルド・パーマーやジャック・ニクラス(ともに米国)と同じ大会に出場。「祖父は当時の話を何度も聞かせてくれた。同じ話を100万回されても、僕は一度も止めたことはないんだ」と、JTは祖父の昔話を毎日聞いて育った。

2021年2月、JTが「WMフェニックス・オープン」に出場した最終日の朝、89歳の祖父が他界。「最後まで戦うことが祖父の教え」と試合を棄権することはなかった。「昨日、天国は素晴らしい人を迎えた。祖父の声は決して忘れない」とSNSにアップしたJT。トーマス家の“ゴルフ遺伝子”は今も流れ続けている。(文・武川玲子=米国在住)

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