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3Wで300ヤード超えにギャラリー騒然 その河本力が「残念で仕方ない」と肩を落とした原因は?

ギャラリーにも大人気の長距離砲。河本力は後輩・中島啓太との2打差を追いかける。(撮影:福田文平)

<JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品 3日目◇24日◇西那須野カントリー倶楽部(栃木県)◇7036ヤード・パー72>

大会3日目も、河本力はその豪打でギャラリーを興奮させた。今大会が行われている西那須野CCはドッグレッグが多く、今季もドライビングディスタンス317ヤードで1位を走る飛ばし屋にとっては、ドライバーを握る機会がかなり制限されるコースになっている。

だからといって、持ち味が消えたわけではない。それどころか“規格外”の飛びをより一層印象づけるシーンがあった。それは372ヤードと短いパー4の5番でのこと。ここは左右にセパレートされた2つのフェアウェイがあり、グリーン左手前には池が広がるホール。右から狙うのが一般的といえる。

だが昨年もドラディス王に輝いた生粋の飛ばし屋は、考えることが違う。左からショートカットすれば「ピンまで295ヤード」という計算を弾き出した。そして3番ウッドを握り、果敢にティからピンを狙う。するとグリーンをとらえるどころか、ピンを越えキャリーで300ヤードというパワフルショットを見せつけた。「完璧でしたね」。これに自然と歓声が湧き上がる。

ただそんな豪快な男が、「本当に残念で仕方ない」と肩を落としたできごとがあった。今週の河本は「ショットがすごくいい」と好調で、初日から上位争いの中心人物のひとりになっている。3日目も後半15番までに8バーディを奪い、トータル20アンダーで最終18番を迎えた。ボギーでも最終日を最終組で回れる状況。たがここで風の判断に迷いながら放ったティショットが大きく左に曲がり、池に消える。結果的に痛恨のダブルボギーを叩いてしまった。

“最終日最終組”でプレーすることにこだわっていたのが悔しさの理由となる。それは日体大の後輩・中島啓太との直接対決を願っていたから。このミスショットでトータル18アンダー・3位タイまで後退し、最終組の一つ前からスタートすることが決まってしまった。「本当に残念で仕方ない」と話す表情には悔恨の色が表れる。「別の組で黙々とやるより、絶対に(意識する)相手がいたほうが気持ち的に昂る。引っ張り合ってみんなでいいスコアでやり合うほうがいい」。今大会の開幕前に自宅に泊まりに行くほど普段から仲がいい後輩と、ヒリつく勝負がしたかった。

それだけに許しがたいプレー。「ああいうミスを無くしていかないと、大事な所で勝てないと思い知らされた」。優勝のために掲げてきた目標スコアは1日4アンダー。ただ「理想を言えば25(アンダー)は超えたい。それができなければ優勝は絶対にない」と考えている。このためには、最終日に「65」以上をたたき出す必要がある。簡単にミスをしていては、届かない数字だ。実際、18番は心にヒビが入るようなできごとではあったが、一方で「あのショットが最終日の最終ホールではなかったことはプラスにとらえたい」とポジティブにとらえることができる場面ともいえた。

最後に「最終組で回りたかったですね…」とポツリこぼしたが、なにも優勝レースから脱落したわけではない。首位の中島らとの差は、わずかに2打だ。3番ウッドで楽々300ヤードを超えてしまうショットに対するギャラリーの歓声などは、後ろの組を回る選手へのプレッシャーにもなる。逆に後方から盛り上がりを感じられれば、河本の“気持ち的な昂り”にもつながるはず。

5週連続で最終日最終組入りを果たした後輩も、「一緒に回りたかった」という気持ちは同じ。だが「力さんも優勝争いをしていることに変わりはない。終盤までスコアを伸ばし合って(一緒に)優勝争いがしたい」というクライマックスシーンをイメージしている。たとえプレーする組は違っても、お互いのことをバチバチに意識しあうラウンドになりそうだ。(文・高木彩音)

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