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「前向き」 と 「メンタル的な厳しさ」が同居  渋野日向子、 スイング改造の“中間評価”

渋野日向子は課題と収穫を得て前に進む(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

<シェブロン選手権 最終日◇23日◇ザ・クラブatカールトン・ウッズ(米テキサス州)◇6824ヤード・パー72>

渋野日向子の今季メジャー初戦が終わった。4日間を戦い抜くことはできたが、「準備していたつもりだったけどやりきれてなかったと、ここに入って感じた。痛いところがありながらというのも本当によくない。治しながら頑張ります」と悔いも残る。

大会を通じて出ていたのは「ショット」への不満。パーオン率はトータルで62.5%だったが、ショートする場面や、砲台下の難しいアプローチを残すシーンなども目立った。最終日についても「風も難しかったけれど、それどころの問題ではないようなショットが多かった。課題はかなり見つかりました」と、手ごたえを得るまでには至らない。

スイング改造に着手し挑んでいる今シーズン。自身開幕戦となった2月の「ホンダLPGAタイランド」の会場では、ある程度「やりたいことをできるように」するリミットについて、このメジャー大会を挙げていた。冒頭の“準備していたつもりだったけどやりきれてなかった”というのが、現時点でのジャッジとなる。「ショットが悪いなりに、他のもの(アプローチやパター)で補えるというのがよくわかった」と、耐えてしのいで、タフなコンディションの難セッティングをトータル1オーバー・28位タイで乗り越えた部分にはうなずくが、スイング面は道半ばだ。

さらにアクシデントも、その満足感を下げる原因になった。「痛いところがあると、そこをかばって違うところに力が入る。負の連鎖が起きてしまう」。ラウンド中は左手首にテーピングを巻き、さらに「昨日も寝違えて首が痛くて」とその患部をさする。「トレーナーさんにいろいろやってもらって、きょうは万全ではないけど、この状態でできた」と完走できたことは今後への安心材料になるが、「本当に自分の管理不足」という反省も忘れない。

試合のなかで課題をあぶり出し、それを修正していく日々。内容に加えて結果も求める必要があるだけに、容易な作業ではない。そのなかでは、「ショットはあまりよくないと自分の中でも思っているからこそ、あまり引きずらないように。『次、どうやってパーを獲るか』というのは考えてやってました」という割り切りも、時には必要となる。ただ「メンタル的にはかなり厳しかった」という本音も聞こえる。

それでも調子を落としていた昨季途中から比べると、「けっこう前向き」に課題に取り組めている。「自分の気持ちをコントロールするのが難しかった。予選落ちも続くし、スコアを落としたらドドドっていくし」というのが去年の状態なら、今は「何とか耐えてはいると思うし前向き。怒るときもあるけど、次のホールにも行けている」。ここに「ちょっとした成長」を感じている。

先週のハワイからテキサスと渡り、来週からカリフォルニア州で「JMイーグル・LA選手権」、そして“日本代表”として戦う国別対抗戦「ハンファ・ライフプラス インターナショナル・クラウン」とまだまだ試合は続いていく。とにかく「気持ちを切り替えて」、次の戦いに向かう。

なかなか緊張感から解き放たれないなか、最近はアルゼンチンのパラナで行われている「WBSC U-23男子ソフトボールW杯」を観戦することが最高の息抜きになっている。この大会最終日には、日本代表対オーストラリア代表の決勝が行われており、自身のラウンドが終わるとソワソワ。「早く帰らせてください(笑)。もう始まっているから」と最後は明るい笑い声を響かせた。「めちゃくちゃ(パワーが)もらえる。見に行きたい!」。しっかりと気持ちをリセットし、ロサンゼルスに向かうことができそうだ。(文・間宮輝憲)

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