• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 350ヤードドライブには「気持ちいい」 識西諭里が“カコイチ”の暴風が吹き荒れたリンクスで得たもの 

350ヤードドライブには「気持ちいい」 識西諭里が“カコイチ”の暴風が吹き荒れたリンクスで得たもの 

識西諭里はカコイチの風に立ち向かうも、惜しくも予選通過はならなかった(撮影:ALBA)

<ISPS HANDA・ワールド招待 2日目◇18日◇ガルゴルム・キャッスルGC、キャッスルロックGC(北アイルランド)◇6486ヤード・パー72、6231ヤード・パー73>

ピンフラッグは激しく揺れ、時折、体ごと押されるような突風が吹く。前日プレーした西村優菜が「未知の世界」と表現したキャッスルロックGCの風は、2日目もその勢いが衰えることはない。そこで2日目にプレーした識西諭里。「“カコイチ”風が吹きました。毎ショット涙が止まらなかったです」というなか、決勝ラウンド進出を手繰り寄せようと必死のプレーを続けた。

今年から欧州女子ツアーを主戦場にしている。そこでよくプレーするリンクスではあるが、強風の度合いはこれまでとは比べものにならない。ただそのなかでも130位タイという出遅れの原因にもなった左へ左へと曲がっていたショットは、まとまりを見せていた。初日のラウンド後すぐに向かった打撃練習場で、基本動作を繰り返し確認して修正した。

序盤はとにかくパーを並べ耐え抜いた。7番でダブルボギーを叩いても、直後にバーディで1つ取り返す。しかし激しいフォローの風が吹く9番では、右ピンをフェードで狙っていったが、それが裏目に。ミスショットがグリーン左奥のフェスキューに突き刺さった。アンプレヤブルを宣言せざるを得なくなり、結果的に2つ目のダブルボギーが来てしまった。それでも気持ちを切らさず、後半も攻撃姿勢は崩さない。

「きのうがもったいなかったですね」という思いは消えない。リンクスの一定方向からの風への対応とは違い、初日プレーした林間のガルゴルム・キャッスルGCは舞う風との戦いとなり、そこで「79」と出鼻をくじかれた。結果は2日目も「76」と落とし、トータル10オーバーで予選落ちを喫したが、内容は大きく異なる。

ただ、なにより2つの難しいコースを使った試合で今後への収穫も得ることができたのは大きい。「しっかりと試合経験を積めたこともですし、改めて苦手な部分も分かった。試したものがよかったことも確認できました」。1カ月ぶりで鈍っていた試合勘も取り戻すことができた。

これまで苦手と話していたパターも、安定感が増した。15番パー5のバーディは、3打目のアプローチを3メートルと寄せきれなかったが、これを決めて奪ったもの。その他にもシビアなパーパットを沈めて、何度も窮地を脱した。その秘密が34インチを32インチに短くしたパターにある。「緊張した場面でいつも手の動きが強くなる。そういうのを抑えるために試しました」。腕にあえて“遊び”をもたせないことで、体の動きでパターヘッドを出すのが狙い。「(いつもの感覚だと)グリップがない!って思うくらい」短くして使用している。

高台から打ち下ろす17番では、ドライバーショットで350ヤード地点まで運んだ。「350ヤードもあれば、(アゲンストでは)210ヤードのドライバーもある」と笑ったが、「気持ちよかったですね」と強風ならではの体験もした。

続く試合は2週後の「KPMG女子アイルランドオープン」。一度日本に戻って、わずかな休息を挟んだ後、“再び”アイルランドに戻る。「試合に出たことで分かったこともたくさんあったし、気も引き締まりました。もう少し自分に期待しようと思った」。現在のポイントランクは53位。上位60位が目安になるシード争いもここからさらに本格化してくる。大目標はもちろん「優勝」。そのために必要になるものを、毎試合集めていく。(文・間宮輝憲)

関連記事