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「本当はバスケの選手に…」 中国プレーヤー2人目のメジャー制覇、イン・ルオニンはカリーの大ファン

最終ホールでバーディを奪って、すでにホールアウトしていた笹生優花を1打上回った(撮影:GettyImages)

<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日◇25日◇バルタスロールGC ローワーC(米ニュージャージー州)◇6621ヤード・パー71>
 
ジャック・ニクラスやフィル・ミケルソン(ともに米国)が勝利を挙げた名門バルタスロールGCで、中国出身の20歳が大仕事をやってのけた。今季の「DIOインプラントLAオープン」で米ツアー初優勝を果たしたばかりのイン・ルオニンが、逆転でメジャー初勝利を飾った。

首位と3打差からスタートしたルオニンは、前半を1アンダーで折り返すと、終盤の6ホールで3つのバーディ。笹生優花に並ばれた最終ホールで3メートルのバーディパットを沈め、フォン・シャンシャン以来となるチャイニーズ・メジャーチャンピオンに輝いた。
 
「まだ信じられない」とあどけなさの残る顔には笑顔と驚きが浮かぶ。「昨日まではこんなことになるとは想像もしていなかった」と、本人もびっくりの結末。LAオープンで中国人2人目の米ツアー勝者となったばかりの新星が、世界を驚かせた。
 
前半終了時には悪天候によりおよそ2時間の中断。そのときに、はじめて事態を理解した。「もしかしたら勝てるかもしれない」。クラブハウスで待機していた時間で、意識が優勝に向かった。並の選手ならここでプレッシャーが訪れてもおかしくないが、「とても静かな性格だと思う」というルオニンは、再開後も冷静にプレーを進め、終盤のバーディにつなげる。
 
インタビューエリアに向かうとき、ようやく実感が湧いた。「わたしメジャーチャンピオンなんだ。スゴい!」。シャンシャンが本大会を制したのは2012年。そのときルオニンはまだゴルフを始めていなかった。「シャンシャンが勝ったときのことを知らない」と笑うが、その影響力は絶大だ。
 
ほとんど面識はないが、常に目標としてきた存在。その偉大な先輩に続く快挙には、「中国でゴルフをはじめる子供が増えると思う」と喜ぶ。米ツアー参戦は2年目。英語も学び、ペラペラだ。「ゴルフ自体も成長した」と、ピンデッドに狙っていたプレーから、頭を使うプレーに変えて急成長を果たした。
 
10歳でゴルフをはじめ、13年目で頂点に立ったが、「私は大のバスケットボールファン。身長があと10センチ高かったらゴルフじゃなくてバスケットボールをやりたかった」と笑いながら明かす。「9年間、ステフィン・カリーのファンなの」と、NBAのスーパースターの名を挙げバスケット愛も健在だ。
 
あれよあれよという間につくり上げたサクセスストーリー。今度は自分が中国のジュニアゴルファーのアイドルとなる日も近い。「中国ゴルフをもっと上に押し上げたい」。バルタスロールでの激闘は、女子ゴルフの新時代到来を告げる新スター誕生で幕を閉じた。(文・高桑均)

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