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「思っていたより15ヤード飛ばなかった」比嘉一貴は冷たい雨に対応できず予選落ち

比嘉一貴は悔しい予選落ちとなった(撮影:GettyImages)

<マスターズ 3日目◇7日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇7545ヤード・パー72>

2日目は最高気温が26度を超え、汗ばむ陽気だった。ところが、午後になって天気が急変し悪天候のために2度中断。その後、順延が決まった。「マスターズ」初出場の比嘉一貴は、15番パー5で12メートルのイーグルパットを打つ直前で、第2ラウンドの残り3ホールとちょっとは翌日に持ち越しに。一夜明けるとオーガスタは一変。最高気温は9度と一気に真冬並みの寒さとなり、冷たい雨が降るなかでプレー再開となった。

出だしの15番ホールはしっかり2パットでバーディ発進。この時点でトータル3オーバーとなり、カットラインにあと1打に迫っていた。ところが、16番パー3でバーディパットを大きくショートして3パットのボギー、17番パー4ではセカンドショットを左手前の難しいバンカーに入れてボギー、最終18番パー4では、ティショットを左の林に打ち込みボギー。上がり3ホールを3連続ボギーとして、トータル6オーバーでフィニッシュ。結果的にカットラインに3打足りず、予選落ちが決まった。

この日、比嘉はしっかり対策を立てて臨んだ。「練習場からトラックマン(弾道計測器)を使って、距離のデータを取った」。ウェアは半袖から長袖となり、気温が20度近く下がったことで飛ばなくなることは想定済み。「ただ…予想以上に長かった」。16番をボギーとしたことで、ともに打ち上げていく上がり2ホール、第2ラウンドの難易度4位だった17番パー4(440ヤード)と、難易度1位の18番パー4(465ヤード)をさらに難しいものにした。

17番のティショットはドライバーで打って239ヤード。雨でランがほとんど出ないため、ピンまで198ヤードも残った。セカンドショットはボールとアイアンのヘッドがいい音でコンタクトしたものの、177ヤードしか飛ばず。グリーン左手前のバンカーに転がって入ってしまった。「17番のセカンドは僕のなかでは手応えがあって跳ねたのが見えた。バンカーを越えて下り傾斜だから奥はOK。それが手前からバンカーに入っていた。自分の思っていたよりも15ヤードくらい飛んでいなかった」と振り返る。

予選通過のためには、もう1打も落とせない場面。しかし、バンカーのライがやっかいだった。手前側から入ったため、左足下がり・ツマ先上がりのボールが上げにくくピン方向に飛ばしにくい状況。ボールからバンカーのフチまでは距離があって、エッジからピンまでは5ヤードちょっとしかなく、しかも下り傾斜。寄る要素はどこにもない。

「本来であれば、ピンよりも右サイドを狙って、12~13メートルのパーパットを打てればいいやというところ。でも行くしかない。ピンに当てて止めるしかなかった」。このギャンブルともいえるバンカーショットは、絶妙なコントロールでバンカーとグリーンの間のわずかなスペースに落としたが、下り傾斜に乗ってピンを7メートルオーバーして奥のエッジまで転がった。

「セカンドは自分なりにはベストなショット。ピンに向かっていましたし感触も良かった。恥ずかしいんですけど、打った後にドヤ顔していたと思う(笑)」と、大きくショートしてバンカーに入ったショットに後悔はない。しかし、17番のパーパットが入らなかったことで、予選通過は厳しい状況となった。

最後の18番はティショットを左の林に曲げて、セカンドショットはフェアウェイに出すだけ。グリーンまで打ち上げていく残り233ヤードの3打目をグリーンの右手前まで運び、残り49ヤードのアプローチを、低い球でスピンを利かせて1.5メートルに寄せ、パトロンたちの大きな拍手を浴びてナイスボギー。「小技の面でいえば、いいセーブがたくさんあったので、それは自信を持っていいのかな思います」と、最後は天候の変化への対応に苦しんだが、手応えもつかんだ一週間だった。

2週前の「WGC-デル・テクノロジーズ・マッチプレー」はウェイティング2番手で米国に入り、前週の「バレロ・テキサス・オープン」では予選落ち。思うような結果は出せなかったが、東北福祉大の先輩でもある松山英樹と3週間、時間をともにすることができた。

「これだけ一緒に過ごすことがこれまでになかったので、本当に貴重な時間でした」と感謝しつつ、「松山さんもここに来てほしいと感じたので、早く同じ舞台で一緒に戦えるように、松山さんを脅かせる存在になりたいなと思う」と飛躍を誓った。

初出場のマスターズについては「出場が決まったときは、楽しみと少しの不安を感じていた。やっぱり近づくにつれて不安のほうが大きくなって、会場に入ったら雰囲気にのまれて恐る恐るやっていた。不安が勝ってしまった」と明かす。そして、「もっともっと経験を積んで、堂々と自信を持ってプレーできるようにならないといけない。そういうところが準備不足だった」と反省を口にする。

加えて今回は、“特別招待”での「ラッキーが大きい」マスターズ初出場だった。「今度は自力で世界ランキングで出場資格を取って、また戻ってこられるようにしたい。この1年で海外をたくさん回って経験を積めば、しっかり堂々とプレーできるきっかけになるのかなと思います」。昨年、国内男子ツアーで賞金王を獲得したことで、欧州ツアーの出場資格を持っており、今季は欧州をメインに戦っている。

このあとは日本に帰国し、昨年優勝した「関西オープン」(4月13~16日)はスキップ。翌週の「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」(4月20~23日)から日本ツアーに参戦する予定。そのあと、5月には今季2つめのメジャー「全米プロ」(5月18~21日)の出場が濃厚。「昨年の全英オープン(予選落ち)、今週のマスターズよりは自信を持って臨めると思います」。この経験を糧に、次こそメジャーで予選通過を果たしたい。(文・下村耕平)

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