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剛ラフから最高難度の美技で魅せて「68」 首位発進も石川遼の表情が冴えない理由

初日好調な滑り出しを見せた石川遼(撮影:藤井孝太郎)

<日本プロゴルフ選手権 初日◇27日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>

4バーディ・ボギーなしの「68」をマークして首位タイで滑り出し石川遼だが、表情は明るくない。「自分ができるベストのスコアだったと思います。ミスショットもあってかなり深いラフから打ったので、スコアが悪くなっていても仕方ない」とロングゲームを中心に思い通りのスイングができずにミスショットも多かったが、耐えながら伸ばせた1日だった。

インから出た石川は13番パー3でティショットを大きく左に曲げて、左足下がりのライでボールがすっぽり埋まる深いラフに止まった。「(ラフから)脱出して、もう1回どこからアプローチするか、みたいな感覚でかなり力を込めて思い切り打った」とグリーンに届かない想定で振り抜くと“ドスン”という音とともにボールが脱出して、ピン手前70センチに止まり「想定外によかった」とパーセーブ。ピンチをしのぐと続く14番パー4でバーディ先行。

そして、この日を象徴するのは17番パー5。ティショットでフェアウェイをとらえると2オンを狙った2打目を大きく左に曲げる。左にはOBゾーンがあるため念のため、暫定球を打った。幸いOBまで飛んでいなかったが、真上から見ても確認しにくい剛ラフにつかまっていた。ピンはグリーンエッジから12ヤードと手前側に切られ、ボールからピンまで45ヤードほど。グリーンの手前は深いラフが待ち受ける。

「手前にショートしすぎると難しいアプローチが残るので、ボギーだけ打たないように、こぼすなら左奥と思って左を向いてかなり力を込めて打ちました」。手前にショートするとボギー必至。ぎりぎりを攻めてバーディを狙うのではなく、ピンの奥15メートルのバーディパットを打つか、最悪でも左奥から20ヤードのアプローチでもOKと考え、パーセーブしやすい狙い方に決めた。

奥でもいいと割り切ったことで緩むことなく振り切れた。ボールはふわりと飛び出して、ピンの手前に落ちて、奥3メートルに止まるスーパーショットでギャラリーを沸かせる。「(ピンの)奥を想定していたので、思ったより芝の抵抗があった感じですけど、たまたま距離があってところをいいパットを決められた。“6”も覚悟かなと思ったら“4”が取れました」。ボギーを打たないマネジメントでチャンスにつけて2つ目のバーディでいい流れで後半の2バーディにもつなげた。

「今日はショートゲーム、アプローチとパットでやれましたけど、なかなか楽しい1日でした」と想定外の結果も手伝っての好発進。「明日も今日と同じようなミスショットを重ねて同じような最悪なライに2回、3回いくと、4アンダーで回れる確率は非常に低い。ショットの内容を上げていって、内容をよくしていきたい」。

明日も同じようなスコアを出すための課題は明確。「自分がコントロールできないことを修正するのは難しいけど、(スイングの修正は)自分がコントロールできる。ほんのわずかなショットの動きとかタイミングです。やりがいがあります」と2日目のスタート前までにスイングの修正を急ぐ。(文・小高拓 )

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