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馬場咲希は「おなかをちぎれるくらい回す感じで」ショット復活! アーメンコーナーを完全攻略

「おなかがちぎれるくらい」の意識で上半身を回して、好ショットを連発した(撮影:GettyImages)

<オーガスタナショナル女子アマチュア(決勝) 最終日◇1日◇オーガスタ・ナショナルGC(米ジョージア州)◇ 6310ヤード・パー72>

オーガスタに初めて挑んだ馬場咲希の前半9ホールは圧巻だった。インスタートの大会最終日、出だしの10番をパーで滑り出すと、アーメンコーナーに入って11、13番でバーディ。16番パー3では1メートル、18番パー4では2打目を2メートルにつけて、前半だけで4つ伸ばし、13打あった首位との差が一時は6打まで縮まった。

予選2日間はショットの不調に苦しんだ。なかなかバーディチャンスにつけることができず、ショートゲームでしのぎながら、トータルイーブンパー・14位タイで決勝に進出。予選が行われたチャンピオンズ・リトリートGCから、舞台がオーガスタに移ったとたん、いつものようにドライバーがうなりを上げ、ショットをビタビタとピンに絡めていった。決勝ラウンドでは出場した選手のなかで最多の6バーディを奪い、フェアウェイキープ率は14ホール中13回(92.86%)で3位タイ、パーオン率は18回中14回(77.78%)で2位タイを記録した。

「一昨日までは何をしていいかわからないくらいショットがダメだったんですけど、昨日の練習ラウンドで一日空いたのが本当に運が良くて、ショットを工夫してすごく練習した」。まずは基本の練習に立ち戻り、「ちょっとずつ自信をつけていった」。ドライバーでは曲がる残像が頭に残っていたが、「とにかく振ること」を意識。「おなかをちぎれるくらい回す感じで、フィニッシュでピタッと決められないくらい上半身を回した。うまくいってよかったです」と笑顔を浮かべた。

最初のバーディは池やクリークが絡むオーガスタの難所、アーメンコーナーの最初の11番。ティショットはドライバーでフェアウェイセンターをとらえると、セカンドショットを6~7ヤードほどしかない左の池とピンの間へ果敢に攻めて2メートルにつけ、『Good Shot!』とギャラリーの歓声を浴びた。「風が右から吹いていたんですけど、ピンの右に外したら逃げた感がある。それがイヤだったので、頑張って左を向いてフェードで狙って打ちました」。

続くのは世界で最も有名なパー3の1つ、グリーンが左手前から右奥に伸びていくレダンホールとなっている12番ホールだ。ボールが左につかまればグリーンの奥へ、薄い当たりで右に飛べば手前の池に落ちてしまう。馬場はインスタートの第一組でオナーだったため、参考になる情報が何もない。上空で巻く風を読むために時間を使った。「決め打ちをして距離ピッタリにいけたのがよかったです」と、しっかりグリーンをとらえてパーで切り抜ける。

アーメンコーナー最後の13番パー5は、ティショットが右のファーストカットラフへ。ここでは冷静な判断力が奏功した。「練習ラウンドのときは2オンするつもりで打っていたんですけど、ラフに入ってしまってライも良くなかったので、思い切って刻むことにしました」と、得意な距離を残してレイアップし、3打目勝負を選択。残り78ヤードをピン手前1メートルにピッタリ寄せ、アーメンコーナーの3ホールで2つのバーディを奪って波に乗った。

16番パー3では、オーガスタでマスターたちが実行しているように、ティショットは右の傾斜を使いピンに寄せて1メートルにつけてバーディ。前半最後の18番パー4では、2打目を右手前2メートルに乗せてバーディを奪った。

すると、オーガスタの大きなリーダーボードには『BABA』の文字が。「14位から始まって、リーダーボードに載ってきて、BABAいる、BABAいると思って」とテンションも上がった。後半に入りボギーとダブルボギーを打ってしまい後退。追撃モードがしぼんでしまったが、上がり3ホールで2つのバーディを奪い、初めてのオーガスタで「70」をマーク。決勝ラウンドを戦った世界のトップアマ31人中、トップタイのスコアだった。

最終的にはトータル2アンダーで5位タイ。「ここでラウンドできるのは最後かもしれない」。17歳の攻めの姿勢に、オーガスタの魔女が微笑んだ。(文・下村耕平)

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