「来られるだけ来たい」 兼本貴司が世界一過酷な戦いで得た収穫

<全米シニアオープン 最終日◇2日◇セントリーワールド(米ウィスコンシン州)◇7218ヤード・パー71>

初日に「82」を叩き出遅れながら、2日目に予選ラウンドのベストスコア「67」をマークして決勝ラウンドに進出した兼本貴司。3日目は「81」と悔しい結果に終わったが、最終日は1バーディ・5ボギーの「75」で回り、トータル21オーバーの65位で終戦した。

結果だけを見れば下から2番目だが、大会にとっても兼本自身にとっても忘れられない4日間と言っても過言ではない。2日目の大まくりで予選通過したときは全米ゴルフ協会(USGA)からインタビューも受けた。スコアの差が激しいことから、最終ラウンドも注目を浴びたが「最後だけ普通のプロゴルファーでしたね」。難コースにおいては4オーバーは、ほぼアベレージの結果だ。

最下位からの巻き返しを狙った日曜日は早朝6時35分に1番からスタートとあって、練習を開始したのは5時台。「研修生の頃を思い出しますよ」とスタート前に話していたとおり、日が昇って間もないフレッシュな時間から、兼本は途中まで踏ん張った。2番でボギー先行も4番でバーディを奪う。5番パー5では池に入れながら4打目をベタピンにつけてガッツパー。これからと勢いをつけたいところだったが、「池に入れちゃって流れが悪くなった」と、本来ならバーディを狙うホールでのパーがその後に響いてしまう。

終盤は難コースにやられ、上がりの2連続を含む4ボギー。「最後のハーフで40というのは気に入らなかった」と、3時間32分のスピードラウンドを終えて、まずは悔しさがこみ上げる。

ただ、いろいろあった世界一過酷なUSGAの大会で得たものは多い。『足りないものが多い』という技術面の不足、『はまればスコアは出せる』という自分の力。「堪能しましたよ」。この日も新発見があったりと最後までやりきったが、「コースが許してくれなかった」と悔やむのはミスをしたときの敗北感だ。

「曲がれば外国人選手もグリーンに乗らないし、そこは一緒でした。でも、ミスをしたときの修正の仕方が分からない」と打開策が見つからない。この日の13番ではティショットがラフに入ったのだが、そこはギャラリーが踏み固めたライ。「なんでもないホールなんですけど、思っていたより硬くて、弾かれてしまってショート」と毎度違うライの見極めも初めての経験では見抜くことができなかった。

そんなできごとの繰り返しも、きっと今後につながるはず。「また来たいですよ。一回じゃ分からない。来られるだけ来たい。また痛めつけられようとも」。8月から本格的に連戦が始まる国内シニアツアーで上位に入り、再び海外メジャーの切符を獲得。そしてこの舞台に戻ってくる構えだ。(文・高桑均)

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