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「今年は自信をもって開幕に」 首位浮上・吉本ひかるに“変化”をもたらしたオフの取り組み

黄金世代の一角が躍動。「66」の吉本ひかるが首位戦線へ。(撮影:上山敬太)

<明治安田生命レディス ヨコハマタイヤ 2日目◇10日◇土佐CC(高知県)◇6228ヤード・パー72>

第1ラウンドが雷雲接近によってサスペンデッドになった大会は、ホールアウトできなかった38人(棄権1人)が2日目の早朝、午前7時26分から残りホールを消化することになった。少しタフな一日。だが、そのなかのひとりだった吉本ひかるは、「昨日はあまりパターがよくなかったので、中断になってよかったかも」と、その状況を味方につけた。再開したホールの7番、そして9番とバーディを奪い、14位タイまで浮上した。

そしてその勢いを、午前9時スタートの第2ラウンドにも持ち込んだ。前半こそ2つ伸ばすにとどまったが、「すごくよくて、チャンスが多かった」というショットはキレ味抜群。後半奪った4つのバーディは、11番、15番、18番が1メートル以内につけるベタピンショットで、16番も2メートルを沈めたもの。「最初はなかなか(パットが)決まらず、6アンダーも出した感じがあまりしない。チャンスは多くて、決め切れないのが何個かありました」。ボギーフリーの「66」という結果にも悔いが残るほどのプレーを続けた。

先週、沖縄で行われたシーズン開幕戦は18位とまずまずの結果。そして今週はトータル9アンダーの首位タイで予選を通過した。「安定していますね」という言葉からは自信が感じられる。それはオフからの取り組みや、そこでの成果に裏打ちされている。

QTランキング28位で臨むシーズンに備えて、オフをしっかりとゴルフに費やすことができた。まず、1月下旬からは10日間ほどのトレーニング合宿を敢行。飯田光輝トレーナーのもと、左手のみでバットを振るトスバッティングや、ジャンプスクワットなどのトレーニングに取り組み、その動きをスイングに落とし込んだ。

2月は2週間以上をタイで過ごし、長年指導を受ける中島敏雅コーチらとともにラウンド、練習といった実戦訓練を行った。これにより、飛距離も10ヤードほどアップ。昨年のドライビングディスタンスは222.23ヤード(93位)だったが、「アイアンは、例年より1、2番手変わってきてます」とゴルフが楽になっている。

2019年に初シードを獲得したものの、翌年から極度の不振に陥った。ドライバーが曲がり、飛距離も激減。初優勝が期待される黄金世代のひとりは、予選落ちが続き、20-21年シーズンにシードも喪失した。しかし、昨年の中盤ごろから徐々に状態も上向きに。8月の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」2位など、再び上位争いに顔を出すようになった。

そして、今では「去年は不安がすごくあって、前半戦はあまりよくなかったですけど、後半からよくなってきた。今年は自信をもって開幕に挑めました」と言えるまでになった。「ティショットの不安がなくなったのが大きいですね。曲がりも減ったし、飛距離も出るようになって不安がなくなりました」。目の前のボールに集中することができている。

「捻転の動きを覚えて、それをスイングにつなげています。どう動いたら、こういう球が出るというのが分かるようになりました。これまでは感覚でやっていて、体の動きのことは考えてなかった。それが少し分かるようになってきて、よくなってきました」。叩き込んできたことにより、すぐに修正する術を学んだことも大きい。「あと2日あるので、自信を持って自分のプレーができるようにしたいです」。

これまで何度も優勝争いに加わりながら、あと一歩のところで逃してきた栄冠に近づくためにも、まずは明日のムービングデーをいい一日にしたい。(文・間宮輝憲)

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