ライダーカップのユニフォームこそゴルフウエアの最高のお手本

2018年、フランスで開催されたライダーカップ 画像/getty images

9月29日に開幕するライダーカップ。100年近い歴史をもつアメリカツアーとヨーロピアンツアーに分かれての団体対抗戦は賞金こそないが、チームの威信や誇りをかけて戦う真剣勝負。ゴルフ界を超えた世界的な一大スポーツイベントだ。それぞれのツアーのトッププロたちが揃うため、そのメンバーに選ばれることだけでも名誉とされている。そのためチームメイトたちのプレーに一喜一憂するプロたちの様子など、普段のトーナメントとはひと味違うシーンも見られる。44回目となる今回はイタリアのローマ郊外にあるマルコ・シモーネGCが舞台となる。
 
この大会はプレーや勝敗以外にも見どころがある。ライダーカップは団体戦ゆえ、プロたちは米国、欧州、それぞれのユニフォームを着てプレーに臨む。ゴルフの世界ではあまり目にすることがない集団美がなんとも精悍で華やかだ。しかもそのユニフォームにはスポンサー名のワッペンや刺繍も入っていない。つまりフツーのアマチュアゴルファーと変わらないルックスなのだ。そのためウエア本来のカッコよさがより伝わってくる。もちろんこれほどの大会のユニフォームなのだから機能性も最高レベルだ。
 
ゴルフウエアの着こなしをプロから学ぶのであれば、ライダーカップに出場するプロたちは最高のお手本になる。そこで今回のライダーカップのユニフォームとなるウエアを紹介する。中には購入できるモデルもある。

アメリカチームのユニフォームはやはり「ラルフ ローレン」となる

米国チームは「ラルフ ローレン」の “RLX ゴルフ” のウエアがユニフォームとなる。言わずと知れたアメリカを代表するファッションブランドは、オリンピックの開会式でのアメリカ代表チームのウエアなども手がけ、スポーツシーンでも人気は高い。金谷拓実がトーナメントで着用しているのも “RLX ゴルフ” のウエアだ。
 
デザインはホワイト・レッド・ネイビーという星条旗のカラーがベース。そして12人の米国チームの選手たちを指す “Dodici Forti(12人の勇者の意味)”、“MMXXIII(2023年の意味)” といったプリントがスペシャルなアクセントだ。さらに優れた吸湿発散性、伸縮性、通気性を備えたハイテク素材を使用している。

このポロシャツは大会2日目にアメリカチームが着用予定。素材は薄手でソフトな肌ざわり。汗を吸収して外部へ逃すため、ドライで快適な着心地を味わえる。シルエットはゆったりめで袖も長めにとられている。

パンツは薄手ながらハリがあり、テーパード(裾に向かって細身になる)が弱めなシルエットが特徴。5ポケットスタイルだが、従来小さめな右側につくコインポケットが広く、またヒップポケットはファスナーが付いた二重ポケットとなっている。ネイビー無地のように見えて、同色で細かな柄が入る遊び心も心憎いばかり。

ブルゾンは前身頃だけ中綿が用いられているが、ボリューム感はなく動きやすい構造。後ろ身頃とサイドには伸縮性の高い素材が用いられている。やや高めな襟や、裾にリブや絞りがないため、スポーティでありながら上品な印象だ。

ユニフォームではないが、ライダーカップを記念したロングスリーブのTシャツも登場。コースで着るものではないが、ゴルファーだからこそ価値がわかるデザインだ。素材は風合いのよいコットン。いずれも米国チームワッペンが入る。

ラルフローレンのユニフォームに合わせるのはニューエラのキャップ

アメリカチームのヘッドウエアはゴルファーにもおなじみの「ニューエラ」。左はクラシックなフォルムの “9FORTY”、右は定番の “59FIFTY” がベース。フロントパネルの内側に独自の芯を作ることで型崩れしにくくなっており、伸縮性に優れたストレッチ素材を用いている。
 

ヨーロッパチームのユニフォームはロロ・ピアーナが提供

ヨーロッパチームのユニフォームを手がける「ロロ・ピアーナ」は、ベビーカシミヤやビキューナ、エクストラファイン メリノウールといった最高級のテキスタイルと、それらを用いたウエアで知られるイタリアのハイブランド。創立から6世代にわたる素材へのこだわりをゴルフシーンに取り入れている。緻密なデザインや天然素材へのこだわり、優れた職人技が、機能性とエレガンスが融合したウエアを生み出し、ヨーロッパらしさを感じさせてくれる。
 
今回のユニフォームは3D技術を採用してスイング時の体の動きをシミュレートすることで、より動きやすいウエアとなっている。こうした人間工学に基づくアプローチに加えて、優れた素材ならではの伸縮性や体温調整機能、着心地なども高い水準だ。デザインは開催地であるイタリア、欧州のフラッグ、ブランドカラーであるレンガをイメージにしたクンメルカラーをモチーフにエレガントにまとめられている。ただしこのヨーロッパチームのユニフォームは「ロロ・ピアーナ」のローマのブティックのみで販売されるので、国内では入手できない。

ポロシャツはコントラストを利かせた帯状のパターンが印象的。軽量でストレッチ性のあるテクニカル素材を使用し、プレーを意識した速乾性、通気性も重視している。わかりやすいスポーティさを強調していないところがポイントだ。

「ロロ・ピアーナ」らしくスポーティで洗練されたジッパーつきのニット。素材はコットンとシルクで、脇にはパンチングステッチを施して通気性を高めている。上質な素材と体の動きを想定したデザインで作られたニットは、上品なルックスながら、プレー中でも動きやすく着心地も快適だ。
 
ライダーカップはゴルフという枠組みを超えて、アメリカ、ヨーロッパのスポーツシーンにおけるステイタスの高いイベント。それはこうしたスペシャルなユニフォームの存在からもよくわかる。

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