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岩井明愛はPOで悔しくも清々しい惜敗に涙 「ジエさんには悩みを聞いてもらっていた」

岩井明愛は72ホール目のウイニングパットを外してプレーオフへ(撮影:鈴木祥)

<アース・モンダミンカップ 最終日◇25日◇カメリアヒルズカントリークラブ(千葉県)◇6650 ヤード・パー72>
 
混戦を極めた超高額賞金大会「アース・モンダミンカップ」の最終日、最終組の岩井明愛が前半のハーフで3つのバーディを奪取して13アンダーの単独首位で折り返した時点で、3ストローク差の4位タイまでに8人がいた。その中に日本人選手は6人で、最も年上の選手が2000年生まれで23歳の吉田優利。優勝賞金5400万円を巡る戦いは、若手の台頭が著しい今シーズンを象徴するような展開だった。

そこに待ったをかけたのが、元世界No.1の大ベテラン、申ジエ(韓国)だった。スコアを伸ばしきれない岩井を、前半に1つ、後半に3つのバーディを重ねてとらえ、13アンダーで並びプレーオフに突入した。
 
18番パー5でのプレーオフはジエが王者の貫禄を見せた。1ホール目で3打目をフェアウェイからピンをかすめるスーパーショットを放ち、バーディを奪取。一方の岩井は、ラフからの3打目。「ボールが沈んでいて、上からヘッドを入れないと打てないイメージでした。それが強く入ってしまった」と話したように、ボールはグリーン奥のカラーへ。
 
そこから「入れるかジエさんより寄せるしかない」と思って打った4打目のアプローチは、カップのボール1個ほど横をかすめていった。
 
「悔しいのひと言に尽きます。でも今日は全部出し切りました。途中ミスもありましたが、そこは練習していくしかないと思います」と振り返り、実は「いろいろ自分の悩みをジエさんに聞いてもらっていたんです。頼れるし信頼できる先輩で、悔しい気持ちはあるのですが、ジエさんが勝ってうれしい感情もあります」と、目に涙を浮かべながら続けた。
 
ジエの後輩を思うやさしさを知っているからこその泣けても清々しい感情。それと悔しさがないまぜになって涙してしまったのだ。
 
「きょうは負けてしまいましたが、また戦いたい存在です」とも話したように、決して届かない強者だとは思っていない。己の技術を隠すことなく教えてくれる先輩だからこそ、憧れるだけではなく乗り越える存在だと岩井は思っているのだ。
 
優勝インタビューで岩井のことを聞かれたジエは「飛距離の出る選手が有利なので、自分のプレーに徹しようと思いました。(岩井の)最後のアプローチ、素晴らしかったと思います」と称えた。
 
このプレーオフでの惜敗は、岩井をまたひとつ成長させたに違いない。ジエは怖い敵を育ててしまったのだ。次の対戦を楽しみに待ちたい。(文・河合昌浩)

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