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アテストに向かいながら涙 上田桃子の“強さ”を見たペブルビーチ【カメラマン南しずかの米ツアー小話】

最終ホールで天を仰ぐ上田桃子(7月全米女子オープン2日目)(撮影:南しずか)

畑岡奈紗、渋野日向子に加え、今季から勝みなみ、西村優菜が増えてますます盛り上がっている米国女子ツアー。日本勢の動向にも非常に注目だが、試合以外や海外勢のおもしろ話まで伝えるのはなかなか難しい部分も…。そこでツアーを長年取材しているカメラマン・南しずか氏が気になるネタをピックアップ。これを見れば“米女子ツアー通”になれるかも!?

米国女子ツアーは「CMEグループ・ツアー選手権」を最終戦に、11月半ばに終わった。今季も様々なことがあったが、個人的に最も印象に残った場面は名門・ペブルビーチGLで行われた「全米女子オープン」の2日目、上田桃子選手の18番ホールである。

全米女子オープン制覇は、プロゴルファーなら誰もが手に入れたい最高峰のタイトル。「(全米女子オープンには)いいイメージがなくて、いつもこてんぱんにやられている」と開幕前に苦手意識を語った通り、過去に予選通過は2度だけ。今年で9度目の挑戦となったが、トータル10オーバーで予選落ち。またもや苦い結果となった。

大会2日目、上田が18番グリーンに到達した時は、すでに日が暮れかかっていた。グリーンわきにあるリーダーボードで自身の予選落ちを確信したのだろう。プレーを終えて同組の選手のパッティングを待つ間、上田は厳しい表情を見せた。

同組の全員がプレーを終え、ハグを交わし健闘を称え合った。そして、スコア提出所に向かいながら、片手でそっと目元を拭った。37歳とベテランとなった今でも、涙が出るぐらい真剣に試合に挑む。その強い気持ちが垣間見えた気がした。

トップ10入りは今季11回を数えたが、最高成績は「ダイキンオーキッドレディス」の2位。優勝には手が届かなかったものの、メルセデス・ランキング17位と安定した強さは健在だ。来季こそは悲願のメジャー制覇に期待したい。(取材・文/南しずか)

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