【日本代表|木暮賢一郎監督】「若い選手が、競争を突き上げていくチームに」

タフな日程でも、自分たちの全てをぶつけたい

──前回のブリーフィングの中で、海外選手を招集する難しさをお話ししていましたが、今回はそのあたりの交渉をどう行ったのか、話せる範囲で伺いたいです。

今回の活動に関してはIMDなので、基本的にはどのクラブも問題なく招集には応じてくれました。

準備期間の短さについては、サッカー日本代表や森保(一)監督の戦いぶりからも、いかにわずかな活動時間のなかで、プレッシャーがかかる戦いをしていくかについて、学ばせてもらっています。

僕も選手に対して、今までのようにいい準備をしたからいいプレーができるということではなく、時差や移動距離があったり、クラブの背景がバラバラであっても、代表選手にふさわしい選手であればいプレーができるし、そういった経験を積み重ねていけば、しかるべきタイミングでしっかりと準備をした時に実を結ぶんだという話はしています。なのでそこはあまり自分としては心配がないですし、プロセスとして必要なことだと思っています。

世界最高峰と言われるブラジル代表との初戦を、ワンセッションで戦うことがどれだけ厳しいチャレンジかというのは理解していますし、もちろん簡単なことではないです。ただ、それ以上に価値がある遠征になると思っています。

──この大会で、チームとしてどのような戦いを想定しているか。ロースコアを見越しているのか、撃ち合いになるのか。南米との対戦も含めて今の日本代表の立ち位置について、監督としての見解を教えてください。

この1週間スペインやポルトガル、ブラジルという強豪国や、バルセロナやインテルなどのトップレベルの監督やダイレクターとコミュニケーションをとってきました。

そのなかでは、日本が昨年、若い選手を多く起用してアジアチャンピオンになったこと、U-23フランス代表に2勝したこと、特にU-19がクロアチアでの大会でスペイン代表といい戦いをしたことは、どの関係者も素晴らしいと評価してくれています。

選手個人も代表チームも、新しい世代、若い世代が世界に出て活躍していることを、映像を見たうえで、世界のフットサル関係者たちがそう評価してくれているのは、一つ日本の立ち位置の指標になるのではないかなと。

今回のブラジル戦、その先の南米との戦いをどういう展開にもちこめる、あるいはもちこみたいかに関しては、当然勝つためにアグレッシブに、自分たちのフットサルの全てをぶつけるつもりです。スコアを気にして、例えば負けたとしても、0-1で最少失点だからいいということではなく、アジアカップ2連覇、ワールドカップで最高の成績を収めるという目標の通過点として、恐れることなく戦っていきたい。

大敗しようがロースコアであろうが、勝とうが負けようが、アグレッシブな姿勢で臨むしか、成長することはできないと思っています。そこに関しては、スコアから逆算をしてとか、どういうフットサルをということよりかは、何のためにプレーをしているのか海外まで来て試合をしているのかを忘れずに活動する必要があります。

もちろんブラジルにも勝ちたいですし、どこの国も勝ちたいですし、勝利という結果を多くの方に届けるっていうことは、まず第一にありますけれども、忘れていってはいけないのは、自分たちはまだプロセスの途中にいて、その先に何を手にしたいかっていうことを考えながら挑みたいです。

1戦目については24時間の移動があり、1セッションでやるので、試合の入りが悪いとか、コンディションとかいろんな懸念のある、タフなチャレンジになることは承知しています。それでも、今大会についてはプランニングを遂行して、セミファイナル、ファイナルに進んでいきたいです。

──欧州視察をして得たことを教えてください。

しっかり話せば、かなり時間がかかってしまうのですが……(笑)。フル代表、育成年代の代表チーム、女子も含めて、協会や組織のあり方、選手の発掘やリストのつくり方など、非常に大きな学びました。クラブのGM、監督、ダイレクターが選手をどうみているか。あとは、ビッククラブの構造、スタッフ、環境の整備の良さも見ることができましたし、一方で2部のチームでは、環境面では向上の余地があるなかで、身の丈にあった健全な運営をしながらどう結果に繋げているかを、包み隠さず見せてくれました。地域リーグも、育成も見ることができて、戦術的な新たな発見よりも、より見えないところでの取り組み、協会、クラブ、育成など、それぞれ違う側面において、どう競技に対して取り組んでいるかを見ることができました。

ただ結論としてどのカテゴリーやクラブも、フットサルが大好きで、自分たちの選手や競技の環境ををよくしたいという思いは共通しているということを、再確認できました。

関連記事