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フリッツが痛みを乗り越え、今季無敗のナダルを破り母国でマスターズ初優勝!「子どもの頃からの夢のひとつ」<SMASH>

2001年のアガシ以来となる、アメリカ人の優勝者となったフリッツ。(C)Getty Images
男子テニスツアー「BNPパリバ・オープン」(3月10日~20日/アメリカ・インディアンウェルズ/ハードコート/ATP1000)は現地3月20日に決勝を実施。第20シードのテイラー・フリッツ(アメリカ/世界ランク20位)が第4シードのラファエル・ナダル(スペイン/同4位)を6−3、7−6(5)のストレートで下し、悲願のマスターズ初優勝を果たした。

前回大会でもベスト4へと進出したフリッツは今大会でも苦戦を強いられながら何とか勝ち上がり、準決勝では公式戦で13連勝中だったアンドレイ・ルブレフ(7位)をストレートで撃破。キャリア初となるマスターズ1000での決勝進出を決めていた。

そんな24歳の決勝の相手は今年1月の全豪オープンで優勝を飾り、さらには現在20連勝中と絶好調のナダル。フリッツとナダルは2020年のメキシコ・オープン決勝以来2度目の顔合わせで、この時はナダルがフリッツにストレートで勝利していた。

迎えた決勝では前日の準決勝で痛めた右足首の状態が心配された中、序盤からフリッツの持ち味の力強いショットが炸裂。第1ゲームから4ゲームを連取すると、第9ゲームでも3度目のブレークに成功して第1セットを先取する。

続く第2セットはたがいにブレークを1つずつ取り合う拮抗した展開となり、タイブレークへと突入。一時は4−5とリードされるも、攻めの姿勢を崩さなかったフリッツが逆転でタイブレークを制し、価値ある優勝を手にした。
2001年のアンドレ・アガシ以来地元アメリカ勢として約21年ぶりとなるインディアンウェルズ優勝を達成したフリッツは、試合後のインタビューで涙ながらに「今日のような素晴らしいプレーができたことは、言葉では言い表せないよ」とコメント。その後、自身の生まれ故郷であるカリフォルニアの舞台でビッグタイトルを獲得できたことについて「この大会、特にインディアンウェルズで優勝することは、子どもの頃からの夢のひとつで、それが叶うとは思ってもいなかったんだ」と喜びをあらわにした。

その一方で「試合前にこれほどひどい痛みを経験したことはなかった。試合前はプレーできるわけがないと思っていたのに、足首に色々と治療を施して、ジェットコースターのような感情を味わっていたんだ…」とも語り、思いの外右足首のケガは深刻だったという。それでも「ここにきて全く影響はなかったんだ」と、気持ちで乗り越えられたことを明かした。

表彰式では「自分のチームにありがとうと言いたい。コーチは自分をずっとケアしてくれたし、後押ししてくれた」と感謝の言葉を口にしたフリッツ。最後には笑顔で優勝トロフィーを掲げた。

今季無敗だったナダルから大金星を挙げてのマスターズ優勝は、フリッツにとっても忘れられないものとなったことだろう。2022年シーズンはまだまだ続くだけに、ここからも更なる活躍を期待したい。

文●中村光佑

【PHOTO】フリッツのサービス、ハイスピードカメラによる『30コマの超分解写真』

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