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「最後は気持ちの強い方が勝つ」勝利を左右する“気迫”について|頭で勝つ!卓球戦術

プレイヤー自身の気迫

応援だけでなく当然選手自身からも気迫といったものを感じることができる。わたしも思い返せばこれまでの競技経験の中で、気迫を前面に押し出してくる選手と対峙したことがある。1点を取るごとに大きな声と力強いガッツポーズ。

表情にも自信が満ち溢れており、次の1点も必ず取ってやるぞという雰囲気をひしひしと感じる。何か強力なエネルギーのオーラをまとっているかのような印象さえある。

こちらは平常心を貫いているつもりでも、目には見えない「気迫」を感じて、こちらのプレーが縮こまってしまった。知らず知らずのうちに受け身になってしまうのだ。こちらは普段通りのプレーが出せず、結果的に負けてしまった。

写真:張本美和(木下アカデミー)/撮影:ラリーズ編集部
写真:張本美和(木下アカデミー)/撮影:ラリーズ編集部

そしてこれは逆のことも言える。自分自身も声を出しているときと出さずに静かにプレーをしているときで、心理面は変わってくる。声を出して自信を鼓舞しながら戦っているときは、アドレナリンが湧き出て、より攻撃的・積極的なプレーを選択することができるようになると感じる。加えて観客や仲間も、より応援をしようという気持ちになるものである。

ただし作戦としてクールな装いをするというのはもちろん有効である。どんなプレーにも一喜一憂せずに、常にポーカーフェイスで淡々と試合を進める。相手の感情が読み取れないのは不気味で、なんともいえないやりにくさを感じるだろう。しかしやはり声を張り上げて気迫を前面に出したプレーは、相手にも自分にも、そして応援をしてくれる仲間にも影響を与えることは間違いない。

実力が拮抗している選手同士の試合ならばなおさらである。「最後は気持ちの強い方が勝つ」とよく言ったものだが、あながちこれは正しいのだと、年齢を重ねるごとに強く思えるようになった。

まとめ

今回は「気迫」というテーマについて考えてみた。気迫というものはそれだけで勝敗を決するものではないが、少なからず勝利への後押しをしうるものだと言える。

ここ一番の大勝負、絶対に負けられない戦いがそこにあるのなら、全面に気迫を出して戦うべきである。これまでは静かにプレーをしていたという方も、少し声を出してプレーすることに挑戦してみてはいかがだろうか。

文:若槻軸足(卓球ライター)

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