• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 「一緒に名前を出してほしくないくらい(笑)」 櫻井心那が宮里藍、畑岡奈紗に次ぐ史上3人目の10代3勝

「一緒に名前を出してほしくないくらい(笑)」 櫻井心那が宮里藍、畑岡奈紗に次ぐ史上3人目の10代3勝

史上3番目の若さで3勝目を挙げた櫻井心那。次の標的は地元でのメジャータイトルだ(撮影:米山聡明)

<ゴルフ5レディス 最終日◇3日◇ゴルフ5カントリー美唄コース(北海道)◇6472ヤード・パー72>
 
1打差を追いかけた鈴木愛をかわし、小祝さくらと山下美夢有と首位タイに並んで迎えた最終18番。「ここでベタピンについたらかっこいいな」。櫻井心那はそんな成功イメージを頭に描きながら、残り124ヤードから「ギリギリの番手」である46度ウェッジで打った2打目は、ピン2メートルにピタリとついた。

決めれば優勝、外せば三つ巴のプレーオフという場面には緊張した。「しびれましたね(笑)。きょう初めて緊張したかもしれません」と、緩まずに強めに打つことを心掛け、スライスラインも浅めに読んだ。打ち出す方向と距離感だけを意識して打ったウイニングパットは、カップに沈んで勝負を決めた。「入った瞬間は“良かった~”という感じでした」。力強いガッツポーズを見せ、これで今季3勝目を飾った。
 
2004年2月13日生まれの19歳で“ダイヤモンド世代”。日本女子ゴルフ界で数々の記録を残し、世界でも名をとどろかせている宮里藍(18歳360日)、畑岡奈紗(18歳261日)に続く、史上3人目の10代3勝(櫻井は19歳202日)を達成した。「わたしなんかが並んでいいような方々じゃないので、一緒に名前を出してほしくないくらい(笑)。本当に尊敬している方なので、わたしもそれに続けるように今後も頑張りたいです」。
 
2021年の最終プロテストを一発で合格し、高校3年生の17歳でプロになったとき、同学年プロの中では最も誕生日が遅いため『最年少女子プロ』としても注目されていた。ルーキーイヤーはQTに失敗して、下部のステップ・アップ・ツアーが主戦場。主催者推薦で数試合に出場し、「北海道meijiカップ」では最終日最終組に入る存在感も発揮していたが、「わたしはまだまだなので…」とレギュラーツアーでは控えめに緊張していた様子が印象的だった。
 
「プロになったとき、10代も20代もきっとあっという間という意識があって。そのときは西郷さんや山下さん、笹生さんが活躍されていた。わたしも1、2年でその歳になっているし、それくらいうまくなっておかないと、ペースが間に合わないと思っていました」。2学年年上の“新世紀世代”に憧れも抱きながら、ステップでは史上最多の年間5勝をマークして賞金女王に輝き、今季はいよいよレギュラーに乗り込んできた。
 
424ヤードの12番では「バカ飛びした」とドライバーで残り49ヤードまで運んだという持ち味の飛距離や、「よくなってきている」と課題として練習に取り組んできた100ヤード以内のショートゲームはメキメキと上達し強みにもなりつつある。さらには積極的に攻める強気な姿勢、ここぞで決める勝負強さ。ポテンシャルばかりがそろっていることには目を見張る。
 
来週の地元開催の国内メジャー「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」(長崎県・パサージュ琴海アイランドGC)を最高の形で迎えることができる。「(開催が)決まったときから目標にしていた。優勝していい状態で臨めると思うので、気負わずにいつも通りやれれば」。輝きを放つ19歳は次の大一番へ胸を膨らませた。(文・笠井あかり)

関連記事