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吉田麻也,選手会長,サッカーワールドカップ,W杯

吉田麻也、7代目プロサッカー選手会の会長に就任 日本の課題と改革案とは

写真:吉田麻也(Photo by Pablo Morano/MB Media/Getty Images)

(大会直前のため再掲載)

日本プロサッカー選手会(JPFA)は6月20日、定時総会と理事会を開き、新たな選手会の会長に日本代表の主将を務めるDF吉田麻也が就任したことを発表した。

2024年6月までの任期2年で指名された吉田は6月30日までイタリア・セリエAのサンプドリアに所属し、2年半在籍で74試合出場してきた。経験豊富なベテランである吉田はJPFAの会長として、日本サッカー界の発展のために尽力していくこととなった。(文・井本佳孝)

1996年に「Jリーグ選手協会」が設立

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photo:master1305

JPFAは2006年4月1日に設立された組織で、日本国内のサッカークラブに所属するプロサッカー選手(一部の外国人選手を含む)と海外のサッカークラブに所属する日本人プロサッカー選手が会員となっている。もともとはJリーガーによって選手の立場で発言し活動する組織の必要性を感じた川淵三郎チェアマン(当時)の呼びかけにより、1996年4月1日に任意団体「Jリーグ選手協会」として設立されたのが始まりであった。

初代会長を務めたのが“日本の闘将”として代表主将でヴェルディ川崎黄金期のメンバーでもあった柱谷哲史。副会長は井原正巳、都並敏史が務めた。同じく日本代表でキャプテンマークを巻いた井原は柱谷の後を継ぎ1999年6月に2代目の会長に就任し2001年11月まで同職に就いた。その後を任されたのが中山雅史で2007年6月まで3代目の選手会会長としての役割を果たした。

その後、4代目会長にはジュビロ磐田などでプレーした藤田俊哉、5代目会長にはサンフレッチェ広島で長年エースに君臨した佐藤寿人が務め、6代目会長にはアルベルト・ザッケローニ監督時代には日本代表でもプレーした高橋秀人が就任した。なお、2010年には現在の「日本プロサッカー選手会」へと名称が変更され、発足当初はJリーグの選手だけだったのが海外のプロサッカー選手も所属できるようになった。7代目の会長就任となった吉田はこの当時の規約改定により海外でプレーしながら今回会長に指名されることになった。

5つの理念を目的に活動

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photo:filipfoto

JPFAはトッププレイヤーとしてサッカー文化の普及、振興に寄与するとともに、プロサッカー選手の社会的、経済的な地位向上を目的とした理念が掲げられている。

・サッカー文化の普及と振興を目指す
・社会に貢献する活動を行う
・プロサッカー選手を取り巻く環境の改善に取り組む
・国内外のサッカー関係団体との交流
・ファンサービスの周知徹底

近年サッカー界が抱える問題の一つとして、アジア人サッカー選手が抱える労働環境の過酷さが挙げられる。とくに海外でプレーする選手がその影響を受けており、FIFPro(国際プロサッカー選手会)の調査によると、イタリアでプレーし日本代表でも主力の吉田は2018年6月のロシアW杯後から4年間で地球7.93周分に当たる、約31万8000キロを移動してきたという。国際大会にクラブチームでのリーグ戦にカップ戦と過酷を極める状況を改善すべく、吉田は6月の代表期間に行われたFIFProのオンライン会見で選手の待遇改善について訴えていた。

また、JPFAでは震災復興にも積極的に取り組んできており、2011年に起こった東日本大震災に対して日本赤十字社への寄付を行い、チャリティーオークションやスペシャルマッチなどを開催している。被災地に対しての支援とサッカー教室も全国で毎年開催しており、サッカーのトッププレイヤーとして競技を普及させるだけでなく、社会貢献や奉仕活動などを通してより良い影響を与えるべく活動を続けている。

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