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元フォトクリエイト社長・大澤朋陸が新天地に“北海道ボールパーク”を選んだ理由

“野球好き”以外もくるスタジアムへ

私が担当しているのは事業開発です。ボールパーク全体で“スタジアム内”だけではなく、“スタジアム外“のところにも何を置くかというところで、事業パートナーさんを探しています。その中で感じるのは、結局、野球が好きな人だけに来てもらおうという考えはもう先細りしていています。野球に興味がない人、今まで野球に触れてこなかった人が来るきっかけが、街の賑わいを生み、街の発展につながっていきます。

私たちの世代からすればテレビをつけたら野球をやっていたのが当たり前で、皆がルールを知っているものでした。でも、今はそうではありません。札幌ドームは“球場”としての機能しかないので、本当に野球目的の人しか来てくれない。そうではない人たちを巻き込んでいくような仕掛けをこれは全体で考えていかないと野球は廃れていってしまうと思うんです。

これは野球だけではなく、スポーツ全体の話でも言えると思います。生活の中からスポーツが徐々に離れていっていると思うんです。僕らの時代ほど、身近にない。公園でも球技ができなくなってきていますよね。そういった環境の中でちょっとしたスポーツの面白さや楽しさを本当に知ってもらうにはどうしたら良いかというのを、私たちは本気で考えていかないといけない。

ファイターズは【「スポーツと生活が近くにある社会=Sports Community」の実現に寄与したい。】という企業理念があって、野球だけにこだわっていません。野球のチームを持っているからメイン事業が野球になっていますが、それだけではなく“スポーツ全体の価値”を伸ばそうと考えている会社なんです。この思いは、新しい北広島のボールパークで加速できると思っています。

FIGHTERS DINING ROSTER

FIGHTERS DINING ROSTER

FIGHTERS DINING ROSTER

新千歳空港内にある北海道日本ハムファイターズが運営するカフェレストラン「FIGHTERS DINING ROSTER」。本業の“野球”以外でもこういった事業展開をし始めている。

今の日本はスポーツが身近にない

例えば「おいしい料理を食べたいから球場に来る」「温泉に入りたいから球場に来る」という人がいても良いと思うんです。つまり、多くの楽しめる場をスポーツを起点として作ろうとしているんです。そういった魅力的なチャレンジを、自分が育ってきた北海道でできるというのはとてもやりがいがありますね。

アメリカではスタジアムの一室が商談の場になっていて、スイートルームはビジネスにも使われていたりする。その後、ご飯を食べて野球を見始めるのは7回から、というのもよくあります。テレビでMLBの試合を見ているとけっこう空席があったりします。

でもそれは埋まっていないのではなくて、コンコースや他の場所に人がいる。席に座らないけど球場に来る人もいるんです。日本とは全く異なる観戦スタイルですが、私たちも参考にしています。見たい人は見る。ただ、そうではない人たちにどれだけ居場所を提供できるか。これが実現できたら、野球の観戦スタイルも変わってくるんじゃないかなと思っています。

北海道ボールパーク

「冬場はどうなるんだ」とか「アクセスが悪い」とか否定的な声が大きく挙がっているのも事実です。

そして、これが成功する確証なんて全くありません。ただそういった逆風がある中でも、私たちはみんなに喜んでもらえるようなものを作っていこうと奔走しています。人口がわずか5万8000人で、アクセスもよくない。事業パートナーを呼ぶと言っても、この場所に、この案に賛同して来てくれるかもわからない。

そもそも札幌にあるものと同じものを作っても、結局札幌に行くだけで何の意味もないですから。今までにないものを作ろうとしている大きなチャレンジなんです。スポーツに関わりがない人をどう巻き込むか。

これに取り組まないと、スポーツをやる人が減ってしまう。だからこそ、スポーツが身近にあるというような状態を当たり前しなければいけないと常に考え、動いています。

重要なのは、自身の希少性を高めること

スポーツビジネスというものは、華やかに聞こえがちですが、そういったものばかりではないです。基本的に、試合運営、ファンクラブ、チケット、マーチャンダイジングなど、毎日重要ながらも地道な仕事をしています。

しかもナイターゲームだったら夜何時に終わるかもわからないので、結構ハードなんですよね。その中で、単純にスポーツに関わりたい…では続かないと思います。スポーツビジネスと一言で言っても多岐にわたります。何がやりたいのかを明確にすべきかなと。

“スポーツ業界”を特別に見る必要もないと、私は思います。最初からそこにこだわりすぎちゃうと本当に視野が狭くなってしまうので。正直、どこにいてもチャンスは転がってくる。例えばスポーツ業界ですごく頑張った人を採用するかというとそうとは限らないですから。

学生さんでこの世界に入りたいという人にアドバイスをするとすれば、いろんな経験をしておくこと。世界を回ってみるとか、何でも良いので何かに熱中していればそれで良いのかなと。

何か徹底的に「これをやってきたんだ!」というのがあるかないかが重要になってくると思います。人がやっていないものであればあるほど、希少価値が出る。そういう人と会うと「面白そうだな」と興味が湧きますからね。その上で、何がやりたかが明確になっている。そういう人たちと共に働けたら良いなと、思っています。

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