• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • アジア4連戦は「もうちょっと頑張りたかった」けれど… 渋野日向子が得た“明るい兆し”

アジア4連戦は「もうちょっと頑張りたかった」けれど… 渋野日向子が得た“明るい兆し”

アジアシリーズを終えた渋野日向子。今週はいよいよ事実上の最終戦を迎える(撮影:鈴木祥)

<TOTOジャパンクラシック 最終日◇5日◇太平洋クラブ 美野里コース(茨城県)◇6598ヤード・パー72>

来季シード権争いのなか、予選落ちがない4日間大会が続くアジアシリーズは渋野日向子にとって正念場でもあった。アジア4連戦の最後となる日本での戦いはトータル12アンダーの40位タイで幕が閉じた。

シード権獲得のボーダーラインをわずかに上回った79位で迎えた初戦の中国・上海。トータル4オーバーという2日間の出遅れを、週末には8アンダーと持ち直して伸ばしたが、41位タイに終わった。「出遅れたぶん、もったいないと思うところが多かった」と振り返り、初日のスタートダッシュを求めて韓国へと渡った。

その韓国戦では勢いをつけることに成功し、トータル5アンダーで週末を迎えた。だが、第3ラウンドに3パット3回に池2発の『77』で失速。52位タイまで落とし、巻き返しならずで56位タイに沈んだ。続くマレーシア戦でも3日目に急降下。今季ワースト「79」の乱調で、最終的にはトータル1オーバーの60位タイ。この3連戦でランキングはボーダーラインをまたぎ、81位で日本戦を迎えることになった。

自力ではなく、出場枠が降りてきて得られた出場権に対して冷静に受け止めながらも、「大事な残り2試合のなかの1試合を日本でできるということは、自分のなかではすごく大きい。日本にいられているということがすごい幸せなこと。日本のお客様の前でプレーできる喜びをかみしめたい」と大事な一戦を迎えた。応援してくれるファンの声援に背中を押されながら、ひとつでも上を目指して、目の前の一打に集中し続けた。

初日は“前向き”な2アンダーで発進とすると、2日目は「68」。“鬼門”でもあったムービングデーは「68」と伸ばすことに成功した。前週から11打も縮めたラウンドには「最近は3日目に落としてしまうという謎の現象がずっと起きていたので、それも自分の頭の片隅にあった。なんとか4アンダーで回れてよかった」と、冗談めきながらも安どの表情も浮かべた。

そして、最終日は前半1オーバーでターンした後半に3つのバーディを奪って「70」。4日間をすべて赤字にまとめ。「ビッグスコアを出せるコースではあると思うけど…」と前置きをしながら、「最近の自分のショットの内容、ゴルフの感じ、感覚を考えると4日間をアンダーで回りきれたことは自分のなかでは大きい」と、前向きに振り返った。

シード権争いやスイングについて頭で考えることが多いなかで、アジアシリーズ直前の米テキサス州・ダラスでの試合では予選落ちを喫して涙も見せていた。そんな失意で迎えたアジア4連戦だったが、最後は及第点を与える内容で締めくくることができた。「前よりは(ショットの)質がマシだったかな。日本でやるからこそだと思うけど、周りのみなさんにも後押しされて、いい気分で回れました(笑)」。持ち球でもあるドローボールには徐々に高さが生まれていき、落ち込みがちだった気持ちもポジティブになってきたことを実感している。

一方で、ポイントランキングは81位のまま変わらなかった。「悔いの残らないようにやりきったかと言われると悔いは残ってしまってる。もうちょっと頑張りたかったですね」と、後退した悔しさもにじませる。それでも日本での戦いでは心残りがないプレーをすることができた。「いまできる自分の精一杯だったと感じるし、先が明るく感じるなと思える1週間。すごく前向きになれる4日間だった」。

“逆転”に向けて、すぐさま米フロリダに移動し、来週は「ザ・アニカ・ドリブンbyゲインブリッジatペリカン」に出場する。同大会はアジアシリーズとは異なり、2日間で予選カットが実施されるいわば通常の試合。「相当頑張らないとシードは無理なので、でも、いま自分ができることをすべて出し切れるように頑張りたいです」。日本で得た喜び、兆し、そして悔しさのすべてを携えて、最後の大一番へと飛び込んでいく。(文・笠井あかり)

関連記事