• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 先輩のアドバイスで見つめ直した自分 木戸愛が求める“ベストな今”

先輩のアドバイスで見つめ直した自分 木戸愛が求める“ベストな今”

崖っぷちの木戸愛が好発進(撮影:鈴木祥)

<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 初日◇15日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6534ヤード・パー72>

ツアー初優勝から早11年。木戸愛が久しぶりに好スタートを切った。2019年に賞金ランキング74位で12年から守ってきたシード権を喪失して4年。今季は春先の「パナソニックオープンレディース」で4位タイに入ったが、合計19試合に出場して予選落ちが12回。そんな状態から、初日は今季ベストの「67」をマークし6位タイ発進。「本当に久しぶりにいいラウンドができました」と笑顔がはじけた。

今季の出場権を決めるQTランキングは131位でシーズンイン。そして推薦で出場したパナソニックでメルセデス・ポイントを稼ぎ、第1回リランキングを35位で突破。ところがその後は結果が出ずに、いまは後半戦への出場権が微妙な暫定リランキング44位。次週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」終了後の第2回リランキング突破を目指すには、絶好のスタートだ。
 
とはいえ、いまの木戸の頭の中にはそんな皮算用は一切ない。「結果がどうなるかわからないけど、今そういうものを超えている自分がいる」と目先のことにこだわらず、あくまでも自分が納得できるパフォーマンスの実現を優先している。
 
今週はグリーンも止まりやすいとあって、「アグレッシブな気持ちを持ってやる」と決めた。そのなかで5バーディ・ボギーなしのラウンド。「自分の直感のようなものを信じて、小さなことでも探究心を持って、そういう一つのことにベストを尽くせたかということを大事にしています」。自分の“最高”を引き出すため、今週は攻撃をモットーにやりつくし、まずは初日を滑り出せた。
 
そんな風に考えるようになったのは、今年の6月にある先輩からもらったひと言が木戸の心に残っているから。「アース・モンダミンカップ」で同組となった上田桃子からの助言だ。同じマネジメント会社ということもあって旧知の仲だが、その日のプレー後に改めて送られたた言葉が心に響いた。
 
「自分が今やれることを出し切れたかどうかを大事にしたほうがいいよ、という言葉をいただいて、それを大事にしてきました」と、“今の自分”で最善を尽くし、結果とは別のものを求めてきた。そのなかで結果も得られたこの日の「67」は、「自分の持っている力を出し切った」とその道が正しかったことを証明できる1日にもなった。
 
周囲は11年ぶりのツアー優勝、シード復帰、リランキング突破といったことを期待するし、選手なら誰もが気にすること。でも今は、結果はやるべきことをやり遂げたときについてくるもので、その日その日の自分との戦いを優先。「あした以降も集中してやり続けたいです」と変わらぬ気持ちで残り2日へと向かう。(文・高桑均)

関連記事