• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 数字で検証 510Y→545Yに長くなったオーガスタ13番パー5は難しくなったのか

数字で検証 510Y→545Yに長くなったオーガスタ13番パー5は難しくなったのか

12番グリーンの右奥にあるティイングエリアが後ろに延長されて、35ヤード長くなった13番パー5(撮影:ALBA)

数年前から話題となっていたオーガスタ・ナショナルGCの13番パー5の改造。今年からついに、ティイングエリアが35ヤード後ろに下げられ、510ヤードから545ヤードと長くなった。マスターズが始まった1942年から昨年までの平均スコアは『4.775』と1番やさしいホールとなっていた。

オーガスタ・ナショナルGCのフレッド・リドリー会長は開幕前の恒例の記者会見で、「この変更により、ドライバーでティショットを打つ機会が増え、このホールの当初の設計で意図されたリスクとリターンのバランスが回復すると信じている」と述べた。
 
左ドッグレッグのため、510ヤードだった昨年まではドライバーで高いドローを打ってフェアウェイに置くか、右に突き抜けるのを避けてフェアウェイウッドで打つ選択肢があった。3番ウッドで打っても、残りは2オンを十分狙える距離。ドライバーでいいショットを打てば、選手によってはミドルアイアンで2オンを狙うことができていた。
 
「日曜日の競技では、8番アイアンではなく、3番や4番アイアン、あるいはハイブリッドを手に2オンを狙う選手が出てくることを楽しみにしている」とリドリー会長。では実際にはどうだったのか。
 
優勝したジョン・ラーム(スペイン)は最終ラウンドで、307ヤードのティショットでしっかりフェアウェイ左サイドをとらえ、残り199ヤードは2オンを選択してグリーンの左サイドまで運んでいる。この13番、そして続く14番で連続バーディを奪ったことで、リードを広げて逃げ切った。
 
それに対して、松山英樹は4回のラウンドすべてでレイアップを選択。3打目勝負のプランで第2ラウンドと第3ラウンドはバーディを奪っている。初日のラウンド後に松山は「狙おうかなと思ったけど、いまのゴルフの状態を考えたら刻んだほうがチャンスにつけられる」と理由を話した。
 
今年と昨年の13番のデータを比較してみよう。
 
■2023年(545ヤード)
4日間平均スコア『4.736』 難易度は15番目
(イーグル8個、バーディ108個、パー122個、ボギー30個、ダブルボギー以上9個)
最終日の平均スコア『4.849』 難易度は15番目
(イーグル2個、バーディ18個、パー24個、ボギー6個、ダブルボギー以上3個)
 
■2022年(510ヤード)
4日間平均スコア『4.852』 難易度は16番目
(イーグル6個、バーディ91個、パー139個、ボギー37個、ダブルボギー以上10個)
最終日の平均スコア『4.923』 難易度は12番目
(イーグル3個、バーディ13個、パー24個、ボギー10個、ダブルボギー以上2個)
 
4日間の平均スコアでも最終日のスコアで見ても、昨年よりも今年のほうがやさしくなっている。バーディとイーグルの数も今年のほうが増えている印象だ。2オンを狙わずにレイアップを選択する選手が増え、ボギーとダブルボギー以上の数が減ったことも平均スコアが良くなった要因かもしれない。
 
リドリー会長の言うように、ティショットではドライバーを持つ選手が増え、短い番手で2オンを狙う選手は減った。それでもバーディが獲りやすいホールには変わらず。アーメンコーナーの難しい11、12番をパーで切り抜けて、13番からチャージをかけていくマスターズのサンデーバックナインは今年も健在だった。

関連記事