• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • 選手も太陽も燃えた“灼熱の大会”「カストロールレディース」 BPカストロール小石孝之会長に聞く“契約選手に求めること”

選手も太陽も燃えた“灼熱の大会”「カストロールレディース」 BPカストロール小石孝之会長に聞く“契約選手に求めること”

灼熱の大会「カストロールレディース」が今年も開催された(撮影:上山敬太)

日本全国が猛暑に襲われるなか7月26日から3日間の日程で、選手も太陽も熱く燃え、“灼熱の大会”となった「カストロールレディース」が千葉県の富士市原ゴルフクラブで開催された。主催企業である本拠を英国に置く世界トップのプレミアム潤滑油メーカー「Castrol(カストロール)」の看板やのぼりが目を引く大会会場で、猛暑に負けない熱い戦いがくりひろげられた。

>>大会開催記念プレゼント企画! 応募ページはこちら

14回目となる今大会。主催企業、BPカストロールはステップ・アップ・ツアーが現在のような盛り上がりを見せる前の2010年から『選手が戦う場所』を提供し続けている。その大会で常に先頭に立ち、旗振り役を続けるのが小石孝之BPカストロール会長だ。
 
同社は李知姫をはじめ、吉田弓美子、昨年11年ぶりに優勝を挙げた金田久美子など17名のプロゴルファーとスポンサー契約を結んでいる。今大会はそのなかから9名の選手が出場し、ベテランプロの土肥功留美がトータル7アンダーで昨年の「九州みらい建設グループレディース窓乃梅カップ」以来のトップ10入りを果たした。
 
1年半、自身のゴルフに苦しんでいた同じく契約プロの山村彩恵は、今季初の予選通過を果たすなど、契約選手たちが意地を見せるプレーが炸裂。小石会長は「彩恵に関しては、がっつくタイプなので試合中の考え方など口酸っぱく、厳しい言葉をかけていました」と話す。小石会長はサポートする選手たちに本音で向き合っているのだ。それはビジネスも同じだった。

契約選手への向き合い方

■契約選手への向き合い方
会長が考える選手との向き合い方は、ビジネスにも関連してくるという。「例えば、上司が部下を怒るのは本人のために怒っている。私が社員に言うのは、ミスをしても仕方がないねとか、よくあるよとか、ミスをした部下に“怒らない上司”はダメな上司だということ。こうやったら失敗する、どうやったら成功するか、失敗したことを反省しなかったら、成長しないわけだから、その理由を知らないといけないということ」。この思考から、会長は選手それぞれの長所や短所を把握し、それに合わせてときには厳しい助言をしている。
 
山村には「お前のことなんて期待してないから」と一般的には厳しく思える言葉をかけている。それを言われた本人に気持ちを聞いてみると『そう言ってもらえたことで、気持ちが楽になったんですよね(笑)。プレッシャーがあまりないなかで、余裕をもってプレーに集中することができたんです』と、教えてくれた。これは深い信頼関係がないと理解し合えないこと。それをわかったうえで会長は言葉をかけているのだ。
 
「信頼関係をつくるって、言葉では簡単だけど、結構難しくてさ。どれだけコミュニケーションが取れているのか。まあ、コミュニケーションをどれだけ多く取ってもダメなものはダメな場合もあるけどね」と小石会長は話すが、今大会のスタートホールでは小石会長と出場選手との会話が多く見られた。そうやってコミュニケーションを増やして、選手との信頼関係を少しずつ築いているのだ。

恒例となった小石会長のスタートコールに込められていること

スタートコールは、はじめは遊び感覚ではじめたことだったという。「当時は、ステップ・アップ・ツアーの試合数が少なかった。少しでも選手たちがレギュラーツアーのような雰囲気のなかで戦えるようにと思ってやり始めたこと」だったが、スカイAのテレビ中継が入りそのまま継続することになったという。今では、“大会名物”とまで言われるほどだ。
 
小石会長のスタートコールには選手の特長を意識した言葉が多い。例えば、2019年覇者の井上りこには『原点に戻って“3ない主義”を守って2度目の優勝を狙います』と言葉をかけていた。“3ない主義”とは、“怒らない、焦らない、がっつかない”ということ。山村にかけた言葉は『飛距離よりフェアウェイ。遠くのパーオンよりも寄せワン。入れるよりまず寄せる。この3カ条を守って予選通過を目指します』だった。
 
「ゴルフってメンタル面が大事。技術があっても考えかた一つで結果が変わる。私が言えるのは、マネージメントの部分やメンタルのこと。だから、りこに言っている“3ない”も、彩恵に言っている“3カ条”も全部考え方なんだよね」と、小石会長は話す。
 
そして「自分がすごいプレーヤーだったりすればするほど、前にできたことが何でできないんだってなる。そしたらそこに無理が生じるわけだ。技術よりも考え方、マネジメント、そこをゴルファーとして考えなさいって、口酸っぱく言っている」と続けた。選手に合わせて技術以外の課題を伝えるのが小石会長のスタイル。それをスタート前に聞き、選手たちは改めて大事なこと考えてスタートしているのだ。

出身地、所属先、成績が書かれた台本に小石会長がその場で赤字(スタートコールのコメント)を入れている。「ツアーの優勝回数とかだけではなく、全部自分で考えてスタートコールをしているよ」と教えてくれた。

関連記事