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父・柱憲とジャンボの技術を“ミックス” 24歳・金子憲洋が初決勝で奮闘

偉大な父親が見守る中で奮闘を続ける金子憲洋(撮影:ALBA)

<横浜ミナトChampionship ~Fujiki Centennial~ 3日目◇5日◇横浜カントリークラブ(神奈川県)◇7231ヤード・パー71>

ツアー通算6勝の名プレーヤー、金子柱憲が熱い眼差しをコースに向けていた。その視線の先には、初の決勝ラウンドに進出した長男・金子憲洋の姿があった。

憲洋は1998年生まれの24歳。中学1年からゴルフ部に入ると、東京・立教池袋高を卒業後は父と同じ日大に進学し腕を磨いた。ツアー初出場は22年の「ミズノオープン」で、この時は2日間トータル5オーバー・120位タイで予選落ちに終わっていた。

今大会には主催者推薦枠からの出場。同じ推薦枠には、大会アンバサダーを務める丸山茂樹の息子・奬王らがいる。近年では有名選手のジュニアたちが父親と同じゴルフの道に進み、こうして試合に出場することも増えている。

トータル1アンダー・38位タイで予選通過を果たした憲洋は、3日目に4バーディ・3ボギーの「70」をマーク。石川遼の弟・航らと同じ24位タイグループまで順位を上げた。プレーを終えた憲洋は、「決勝ラウンドは初めての経験でした。ミスもありましたけど、今日は気持ち良くプレーできました」と清々しい表情で語る。

ここ横浜CCは実家からも近い。そうなれば父親・柱憲も応援に駆け付けるが、家族が見守る中でのプレーについて、「あまり気にならないですけど、失敗すると怒られます(笑)。逆に緊張感があっていい」と、変に気にする様子もない。

父親が有名プロゴルファーともなれば、様々な指導やアドバイスを受けていそうだが、「ほんと基本的なアドバイスだけですね。トップから上半身が回ろうとするのを我慢して、下半身リードで引っ張るというスイングです」。これは尾崎将司を師としている柱憲がレギュラーツアー時代から口にしていた、ジャンボ軍団生粋の技術でもある。

さらに、「いまジャンボさんのところで練習させてもらっていて、実は3月頃にもらったアドバイスをアレンジというか、自分の感覚に付け足してやったらすごくいい感触で、そこからずっと上り調子なんです」と憲洋。具体的には、「左手1本でグリップエンドを下半身で引きつけて打つ、というのをやってたらちょっと良くなって、そこに父親から教わった、『トップから上半身は我慢して下半身で引っ張る』を加えたらすごく良くなったんです」。

父・柱憲いわく「高校生まではいろいろアドバイスしていたけど、大学生になってからはこちらからはあえて指導していません。聞かれればもちろん答えますけど、何でもかんでも教えていてはダメ。ヒントは与えるけど、そこから考えて実行するのは本人。自分で考えて試行錯誤しなきゃモノにならないですから」。“技術は自分でモノにする”。これもジャンボ軍団の一員として、尾崎将司から受けた教えだ。

レギュラーツアー時代はハイティアップで、大きく豪快なフォロースルーが代名詞だった柱憲のスイング。憲洋のスイングは見た目こそ違うが、その核となる本質は息子へとしっかり受け継がれている。

明日の最終日。持てる力を出し切り、上位進出を目指した戦いに挑む。(文・土屋裕一)

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