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西郷真央、復活Vに涙なし「喜びが勝りました」 米ツアー予選会へ弾み

1年6カ月ぶりの勝利をつかんだ西郷真央。上昇気流に乗って米予選会へ挑む(撮影:福田文平)

<伊藤園レディス 最終日◇12日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6741ヤード・パー72>

単独首位からスタートした西郷真央が「68」のラウンドでリードを広げ、トータル16アンダーで1年6カ月ぶりとなるツアー通算6勝目を飾った。昨季は前半だけで5勝を挙げたが、その後に調子を落とし、最終戦の「JLPGAツアー選手権リコーカップ」では3度、80台を喫する大乱調。「クラブを握りたくないと思った時期もありました」という“どん底”から、完全に立ち直った。

最終18番パー4。1メートルのウイニングパットを沈めた西郷は目頭を押さえたが、涙は見せなかった。「いろんな感情がこみあげてきたんですけど、喜びが勝りましたね」。表彰式でのスピーチでは声を詰まらせたが、今度は恥ずかしさが勝った。「泣きそうだったんですけど、あまりに噛んじゃったんで恥ずかしくて、涙が引きました(笑)」。苦しい時期を乗り越えての復活優勝だったが、最後まで涙はなかった。

不振に陥ったきっかけは首痛だった。昨季は開幕から6試合で3勝、2位2回と圧倒的な成績を残したが、直後に2試合を欠場。その後も、寝違えなどに悩まされた。「負担の少ないスイングに変えたいという思いだったんですけど、それで自分の良かったところがなくなってしまって。そこで元に戻そうではなく、このスイングをもっと良くしたいと考えてしまいました」。歯車が狂い始めたのは、シーズン序盤の絶好調の時期だった。

苦しい昨季終盤戦を戦い抜いた後はクラブを握る気になれず、オフに入っても2週間近く練習をしなかった。それでも、ゴルフから完全に離れたわけではなく、自身の癖などを記したメモを読み、動画を見返して、良かった時との違いを分析した。「大事な時期だったと思います」。考えを整理した後はこれまでにないほど、練習に明け暮れた。

自信を取り戻したのは今季、積極的に参戦した海外メジャーでのプレーだった。7月の「全米女子オープン」(33位タイ)では2日目にスコアを落としながらも予選を通過。8月の「AIG女子オープン」(36位タイ)では最終日に大きくスコアを伸ばした。さらに帰国直後に出場した「CAT Ladies」ではプレーオフまで進んで2位。着実に復活への階段を上ってきた。

残り試合が少なくなり「今年は勝てないかもと思ったこともありました」。気持ちが少しだけ後ろ向きになりそうになったところで、今回の優勝。「これまでの5勝よりも納得できるショットが多かった。成長して6勝目を挙げられたと思います。自信に繋がる3日間でした」。今月末には米女子ツアーのQシリーズ(最終予選会)が控えている。苦しい時期にも米女子ツアーを目指す気持ちは揺らがなかった。より大きくなった自信を胸に、来季の出場権をつかみ取る。(文・田中宏治)

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