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18試合ぶりの2勝目は「すごく長く感じた」 涙の完全V・岩井明愛、“自分に期待しない”作戦が奏功

優勝を決めてこのガッツポーズ。重圧の大きさを物語っていた(撮影:鈴木祥)

<住友生命Vitalityレディス 東海クラシック 最終日◇17日◇新南愛知カントリークラブ美浜コース(愛知県)◇6534ヤード・パー72>

初日から首位を守った岩井ツインズの姉・明愛(あきえ)が“涙の2勝目”を挙げた。初優勝を遂げた4月の「KTT杯バンテリンレディス」から5カ月、試合数にして18試合目。その期間は「すごく長いように感じました」とウィニングパットを沈めると涙がこぼれた。

初優勝のあとはプレーオフ負け3度を含む2位が5回、3位2回、4位1回…と上位での戦いが続いた。「勝ちたくても勝てない試合が続いて…。もう勝てないんじゃないか」という不安な気持ちが強かったと明かした。

2位に3打差をつけて単独首位で出たこの日のテーマは、「優勝を意識しない」、「自分に期待しない」だった。夏場までは2勝目を強く意識して試合に臨んでいたが、それでも勝てず、先週から優勝を意識しないように思考を変えた。優勝シーンを見ようと応援に駆け付けた関係者にも「期待しないで」と話していたという。プロ野球で18年ぶりにリーグ優勝を遂げた阪神タイガースの“アレ”に近い感覚だろう。

最終日は1番パー4で2打目を4メートルに乗せてバーディが先行。しかし、「最終日最終組はやっぱり耐えるほうが多かったので」と、2番以降はバーディが欲しいパー5でも取れずにパーが並ぶ。それでも過去の経験からバーディが取れなくても「落ち着いてできていた」と振り返った。

後半に入り11番、12番で連続バーディとして後続との差を広げる。しかし14番パー4でティショットをフェアウェイバンカーに入れると、107ヤードの2打目がグリーンを大きくオーバーしてOB。3メートルほどのダブルボギーパットはなんとか沈めたが、小祝さくらが1打差に迫っていた。

優勝を意識していない岩井は、17番グリーンまでリーダーボードを見ていなかった。14番でOBを打った場面でも、ほかの選手が伸ばしているかもしれないと「一瞬よぎった」が、冷静に「自分のゴルフをするだけと思いました。OBを打っても何とかなると。前の自分と違うなと思いました」と、負けが続いた試合とは違うメンタルで試合を運んでいた。

一時は小祝に並ばれたが、16番パー3でティショットを80センチにつけて引き離した。1打リードで迎えた18番パー4は2打目でグリーンを捉えると、「緊張してミスしないように」としっかり2パットでおさめてこの日「70」でラウンド。優勝を意識しない作戦が奏功して、初の完全Vを遂げた。

3勝目に向けては、「今日みたいな感じで自分で自分に期待しない感じ。自然体でやりたい」とある意味、勝ち方を学んだ。平均で260ヤード以上飛ばす飛距離とショットの精度などのポテンシャルを考えたら、シーズン終盤で3勝目、4勝目も夢ではない。

今回の優勝で200ポイント(pt)を加算し、メルセデス・ランキングは今季通算2000ポイントを超えた。1位の申ジエ(韓国、2324.17pt)との差は約242ポイントと肉薄。年間女王も射程圏内に入ってきた。

幼少期からゴルフを始め、年間女王というタイトルは「あまり考えたことなかったです」としたが、「そういう目標は立てていませんが、(今後)立てるかもしれません」。こちらのビッグタイトルも“自然体”で臨むつもりだ。(文・小高拓)

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