ボールはどう選ぶべきか?【QPのギアマニュアル】

ボールは、見た目はほぼ同じですが、性能には大きな差があるのです!とQP

ゴルフショップに行くといろんな種類のボールが並んでいますが、みなさんはどんなボールを使用していますか? 「何となく無くならないから」「これでベストスコアが出たから」というざっくりした理由で選んでいる方もいらっしゃいますが、そんな選び方はありえません(笑)。 ボールの違いは、飛距離やボールコントロールする際のフィーリングに密接に関わっています。ボールを替えることは、ドライバーを買い替えるぐらい大事なことと思ってください。ボールにこだわりがない人は、毎ラウンド、違うドライバーを使っているのと同じなんです。
 
まず、ボールは大きく分けて2種類あります。スピン系、もしくはツアー系と呼ばれるモデルとディスタンス系と呼ばれるモデルです。スピン系はコントロール性能重視で、ゴルファーのテクニックを弾道に反映させやすいです。その反面、スピンがかかりやすいため、ミスした時の曲がり幅も大きくなります。ツアープロや上級者が好みますが、スコア90を切ってシリアスにゴルフに向き合っている人やシリアスに向き合いたい人にも使ってもらいたいです。少々値段は張りますが、それだけの価値はあります。
 
ディスタンス系は、余計なスピンが入らず、ランも含めてとにかく前に前に飛んでいく飛距離重視です。スピンがかかりづらいため曲がり幅は小さく、少々のミスヒットでも大きなミスになりにくいのが特長。デメリットは、スピン量が少なめなため、グリーンで止まりづらいことですね。飛距離が出ることにメリットを感じる人におすすめです。
 
さらにそれぞれ2種類に分けられます。スピン系は、同ブランドで「ややスピンを抑えたモノ」と「よりスピン特性を強めたモノ」に分かれます。主な違いは変形率です。ボールは手で触ると硬いですが、インパクトの瞬間は、かわいそうなぐらいつぶれているのです。肉眼では見えませんが、つぶれる度合いを変形率で呼びます。この変形率が飛距離や打ち出し角、スピン量に影響するのです。

スピン系の2種類はボール全体の硬さが異なり、「スピンを抑えたモデル」=硬い、「スピンを強めたモデル」=軟らかいです。硬いモデルは変形率が低くつぶれにくいため、打ち出し角が高く、ややスピン性能が抑えられます。軟らかいモデルは変形率が高く、打ち出し角が低めでスピンがよりかかるという違いがあります。
 
ディスタンス系が2種類になったのは、つい最近のこと。カバーに軟らかい素材を用いて、飛距離性能を保ちながら、ソフトなフィーリングを重視した「第3のボール」と呼ばれるモデルが登場しました。これらの背景には「柔らかい=打感が良い」という傾向があるからです。ボールが大きくつぶれると感触としては、気持ち良く感じやすいですよね。
 
変形率でいうとディスタンス系はスピン系に比べると、全体的に軟らかめです。メーカーの推奨ヘッドスピードはスピン系の方が速い人に向けています。これは目安としては大事な要素。ヘッドスピードの速い人が軟らかすぎるボールを使うと、ボールがつぶれすぎて、つぶれたまま飛び出してしまうので本来の反発力を引き出せません。逆に、ヘッドスピードの遅い人が硬いボールを使うとボールがつぶれずに、本来の反発力を引き出せなくなります。
 
最近、打感の良さを求めるあまり、軟らかいボールを使って、ボールがつぶれすぎていて本来の反発力を引き出せていない人も少なくありません。打感だけで選ぶのはもったいないかもしれません。スピン量やフィーリングも大事ですが、ボール選びの中で重視したいのは飛距離に直結するボール初速。同じスピン系でも1m/s 以上変わることもあります。自分のスイングとの相性もあるので、実際にコースで18ホール使って試しましょう。それぐらい使わないと良さが分からないですからね。
 
どれか一つに絞るのは難しいかもしれませんが、最初はスピン系、もしくはディスタンス系のどちらかで統一してください。いいショットがいい結果につながるボールが見つかるはずです。
 
 
 
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。

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