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2年8カ月ぶりの60台 松田鈴英を好発進に導いたグリーン上の「ひらめき」

松田鈴英がパットひらめきで久しぶりの60台(撮影:鈴木祥)

<リゾートトラスト レディス 初日◇25日◇グランディ浜名湖ゴルフクラブ(静岡県)◇6500ヤード・パー72>

レギュラーツアーでの60台は、2021年9月の「ゴルフ5レディス」最終ラウンドでマークした「69」以来。3アンダーで初日を終えた松田鈴英は、「ショットはまだまだだけど、パッティングが何年かぶりに入ってくれて、それがスコアにつながりました」とうれしそうに一日を振り返った。

確かにこの日の松田のパットは強気。最初のバーディとなった3番は奥のエッジから13メートルを決めたものだった。続く4番でも奥からの6メートルをねじ込む。6番のバーディパットも4メートルを沈めてと、ロング、ミドルパットを立て続けに決めていった。

惜しくもピンに弾かれた14番の7メートルなど、外れてもショートではなく、しっかりとカップをオーバーする場面もよく目にすることができた。「これまではロングパットで2~3メートルショートすることが多かったのが、1メートルオーバーとか、しっかり打ててすごくよかった」。グリーン上は、長く悩まされていた部分なだけに、よろこびもひとしおだ。

「先週ひらめいたことがあって、それがハマってくれました」と、この要因について明かす。そのひらめきとは、インパクトした瞬間の頭の位置。決めようと力がこもると、頭が浮いてしまうことを動画などを見てきづいた。昨季女王・山下美夢有や、今季メジャー覇者の吉田優利ら、パター巧者と言われる選手の映像なども分析し“問題点”にたどりついた。「私は(パットの時に)体がすごく動く。どうやったら動かなくなるかを意識しながら。頭が浮くと、インパクトが弱くなる。ラインにも乗らないし、とにかく最悪です」。強気の意識がスコアに結びついた。

QTランキング123位でスタートした今季は、この試合までに4試合のレギュラーツアーに出場し予選通過はゼロ。ここまでの平均パット数を見るとパーオンホールが1.9121回で、1ラウンドあたりが31.3750回。規定試合数を満たしていないため順位はついてないが、ランキングに照らし合わせると、パーオンホールが91位相当で、1ラウンドあたりは最下位の93位(31.1111回)を大きく下回る数値だ。「ショットはよかったけど、パッティングが本当にダメ」と問題視していた。

2018年にツアー本格参戦を果たすと、ルーキーイヤーから何度も優勝争いを繰り広げ、賞金ランク11位(6456万6211円)でいきなりシードを獲得した。『初優勝はいつか?』。それが話題になる筆頭選手だったが、20-21年シーズンにシードを喪失するなど、ここ4年ほど不振にあえいでいる。この期間には「ゴルフをやめたい」と考えたこともあったと以前話していたが、昨年10月から奥嶋誠昭コーチの指導を受けはじめたことなどがきっかけとなり、今では再び前向きにゴルフに向き合えているという。今週も頻繁に連絡を取り合い、スイング、そしてパット面のヒントをもらい、それを実践している。

「まずは楽しむことが大前提。それができればいいな」。一時は消えかけていたラウンド中の笑顔も、今ではすっかり取り戻している。ここを含め4試合後の「ニチレイレディス」を終えた時点で、第1回リランキングが行われる。出場優先順位を上げレギュラー復帰を果たすためにも、上位に入りポイントを大量に獲得したいところだが、「今は1試合1試合しっかり頑張るだけ。今週は初日にいいスタートが切れたので、予選通過をしっかりしたい」と、気負いなくプレーしていくつもり。

「(午後組で回る)明日は風が強くなると思う。ショットがなおってくれればいいですね(笑)」。現時点で首位とは3打差。しっかり上位に踏みとどまって、週末のプレーをさらに楽しいものにしたい。(文・間宮輝憲)

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