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予選会敗退も「アメリカでやりたい気持ちはまだ強い」 馬場咲希が“過酷だった108ホール”で学んだこと

唇をかんだ馬場咲希。目指す舞台へ向けて、これからも挑戦を続ける(撮影:Yasuhiro JJ Tanabe)

<Qシリーズ(米国女子ツアー最終予選会) 最終日◇6日◇マグノリア・グローブGC クロッシングズC(米アラバマ州)=6664ヤード・パー72>

馬場咲希にとって初めての米国女子ツアーへの挑戦は、トータル5アンダーの62位タイという結果で終わった。来季のツアーメンバー入りとなる45位タイの突破を目指した一日は、これまでに感じてきたものとはまったく異なるプレッシャーに襲われた。

閉ざされたカップのフタが、なかなか開かない―。カットラインまで1打ビハインドの状態でスタートした大事な最終日は、そんな一日になってしまった。「短めのバーディパットや、決めごろのパットがいくつもあったのに、一つも決められていない。メンタル的に改善しなければいけないところですね」。18ホールでバーディはなし。「伸ばさないといけない日」は、グリーン上で悔しがる姿が目立つ日になってしまった。

ボギーになった前半の12番、15番はいずれも1メートルほどのパーパットを外したもの。体をほぐし、気持ちを切り替えるようにジャンプをしてから入った18番も、しっかりと振り切ったショットがフェアウェイを捉えたものの、3メートルのチャンスを外した。さらに後半4番は1.5メートルのバーディパットがカップに蹴られることに。フラストレーションも頂点に達した。

「一つでも入っていれば、流れも変わったのかな」。そう考えるのが自然なほど、とにかくカップに嫌われてしまう。プレッシャーから余計な力が入っていたことも認める部分だ。そのなかでも「最後まで集中できた」と、6ラウンドを戦い抜いた体力面では成長も実感する。次の課題に挙げたのは“心”。プロになり、さまざまな経験をするなかで、ここを鍛えていく。

10月の2次予選会を勝ち抜いて挑んだこの最終予選。その間には、日本のプロテストも受験し、合格した。今回の結果、来季米国でプレーするならば下部のエプソンツアーが主戦場になることが決まった。さらに日本でも“ルーキー特典”で、最低でも1年間の下部ステップ・アップ・ツアー出場権は保持している。日本のQTを回避しているため、レギュラーツアーは限られた推薦試合に頼るしかないが、日米両国でのプレーを視野に入れることができる状態ではある。

すぐに決断を下すのは難しい。ラウンド後は「来年どうするか話し合って決めたい」というのが精一杯だった。それでも胸には「小さい頃からアメリカに行きたかったし、そこでやりたい気持ちはまだ強いです」と“海外挑戦”への思いがあふれている。「まだ来年、再来年と、自分がどのフィールドで戦っているかは分からないです。その時に合ったゴルフをしっかりできるように頑張りたい」。まずはどこで戦うかを決め、そこに向けて準備を進めていく。

来季の職場を決めるための予選会、またプロテストによって、ここ1カ月半ほどは特に緊張感で張り詰めた生活を送ってきた。「今年は特に“通るか、通らないか”みたいな試合が多かった。そこは去年と違ったし、たくさんのことを学ぶことができた。プレッシャーのある試合で、自分のプレーがどうなるかもわかりました。強いゴルファーになるため、改善するべきところがいっぱいあります」。これからはプロ生活のなかで、成長に必要なものをひとつひとつ埋める作業が続く。

「今回はダメだったけど、来年はまたプロとして試合が始まる。去年と今年とで全然違う部分も多いと思う。気持ち切り替えて、しっかりこのオフの間に、来年結果が出せるように頑張りたいと思います」。まだ18歳。“若いうちに買ってでもした苦労”を、次のステップへの糧にしたい。(文・間宮輝憲)

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