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表彰式に響いた『Happy birthday』の大合唱 19歳のアレクサ・パノが作り出した“バースデー初V”の奇跡

祝福の大合唱にこの表情。19歳ガールにとって忘れられない一日になった(撮影:ALBA)

<ISPS HANDA・ワールド招待 最終日◇20日◇ガルゴルム・キャッスルGC(北アイルランド)◇6486ヤード・パー72>

18番グリーン上で行われた表彰式。勝者を迎え入れる時、進行を務める男性の『Happy birthday to you』の歌声を皮切りに、それを見守っていたギャラリーや関係者も祝福の合唱をする。そのなかに笑顔で入ってきたのが、最終日が行われた8月20日に19歳の誕生日を迎えたアレクサ・パノ(米国)だった。特別な日に、特別な初優勝。2つの幸せを異国で手にした。

「優勝は大きな目標だったから、それを達成できたことは本当に特別なこと。今起きているすべてのことをどれだけ考えても、まだ全然実感が湧かないの」

まさに“ゴルフの神様からのプレゼント”ともいえるような最終ラウンドだった。初日は3オーバー・81位タイと出遅れながら、2日目の「70」、3日目の「69」で大きく順位を上げ、4打差の5位タイで最終日を迎えていた。そこで9つのバーディ(3ボギー)を奪ってトータル8アンダーにすると、エスター・ヘンセライト(ドイツ)、ガブリエラ・カウリー(イングランド)との三つ巴のプレーオフを3ホール目に制した。

ウイニングパットはマークせずに、最後は一騎打ちになったカウリーがプレーする前に流し込んでしまう初々しさも見られる初優勝だった。少し緊張した面持ちながら、これまでとは少し重みが違うパットもしっかりと決める。「練習グリーンでパットをする時も、これはLPGAの大会で優勝するためと自分に言い聞かせていた。ついにそのパットを決め、チャンスを手にすることができたの」。優勝が決まった瞬間、キャディを務めていた父親のリック・パノさんと静かに抱き合った。

ここまでの米国女子ツアーのシーズン最年少優勝は6月の「ミズホ・アメリカズオープン」を制したローズ・チャン(米国)の20歳11日。つまり今季初の十代での優勝者となった。「もう少し早ければ18歳で勝ってたのに。でも…19歳のほうがよかったかな」。そう言ってチャーミングな笑顔を見せる。

勝みなみ、西村優菜と同じく、昨年のQシリーズ(最終予選会)を通過してツアー出場しているルーキーは、この試合までの最高位は17位で、11試合中6試合が予選落ちと決して順風満帆なシーズンを送っているとはいえなかった。そんななか欧州女子ツアーとの共催大会で、プレーオフというしびれるクライマックスのなかいきなり優勝をつかみとることに。若きダークホースが北アイルランドで生み出した、誕生日の奇跡だった。(文・間宮輝憲)

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