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まるで映画館!? 『プレスビルディング』が世界各国のメディアにやさしすぎた【マスターズに初潜入】

映画館のようなプレスルーム。2つのタブレットを備えた348席がある。窓の向こうには練習場が見える(撮影:Masters Images)

世界4大メジャーのなかで唯一毎年同じコースで行われる「マスターズ」。その舞台となるオーガスタ・ナショナルGCは、マスターズを開催するために作られた超プライベートコースだ。初めてマスターズを取材する記者が、実際に見たオーガスタの不思議を紹介する。

メディアとしてオーガスタに初めて来て、一番最初に驚いたのは、コースの美しさや格式の高さではなく、メディア用の施設『プレスビルディング』です。その場所は練習場の打席のちょうど反対側にあり、まるで映画館のよう。スクリーンの代わりにある大きな窓には、練習場で打っている選手たちの姿を遠くに映しています。
 
通常の日本で行われる試合では、われわれ記者が過ごすプレスルームは、試合会場のクラブハウス近くに仮設されるか、クラブハウス内の広いコンペルームや、ときにカート小屋が使われることも。しかし、オーガスタにはメディア用の建物が存在するのです。
 
白いきれいな建物の1階にはフロントがあり、カメラマン専用の部屋も用意されています。そして、ホテルのような吹き抜けの階段を上がると、一人ひとりにタッチパネル式のタブレット(どうやらパソコンを折りたたんでひっくり返してくっつけている)2つが設置された映画館のようなプレスルームが出現します。
 
それぞれの席には、2つのタブレットがつながれている電源のほかに、2口の電源と4口のUSB(A)ポート、LANケーブル(無線LANも飛んでいる)がついています。席の後ろのスペースも広く、座ったまま後ろを人が通過することも余裕です。さらに、後ろには戸棚がついていて、ゴミ箱のほかに鍵が閉められるスペースもあるので、毎日ホテルに持ち帰らなくてもいいようなゴルフシューズや分厚いメディアガイドを収納しておくことができます。
 
2つのタブレットの使い方ですが、一方は試合中の映像を見ながら、もう片方でリーダーボードや、ショットの詳細やスタッツなどを確認したりと様々。コースに出なくても(むしろ、コースに出ないほうが)情報を得ることが可能です。この電源やタブレットが設置されている席の数を数えてみたところ、348席ありました。これが世界各国のメディアで埋め尽くされ、座る席も決まっているのです。
 
2階にはほかにメディア用の食堂があります。セルフで注文して、食べたらトレーごと返却…ではなく、テーブル担当が注文を聞きにきて料理を運んでくれる。完全にレストランですね。朝と昼でメニューがかわり、朝は目玉焼き(オーバーミディアム)とカリカリベーコンにトースト、昼はハンバーガーにクラムチャウダーを付けるのが定番でしょうか。

朝も昼も10種類以上のメニューがあり、ドリンクもいろいろ選べて、しかも食事代は毎日毎回無料。日本のトーナメントではお弁当が用意されていたりもしますが(もちろんありがたい)、マスターズではプレスビルディングにいながら、温かい食事を楽しめるのです。

まだまだあります。コースの売店では7種類のサンドウィッチやソフトドリンクにビール、スナックなどが売られていますが、同じメニューがプレスビルディングでは食べ放題&飲み放題。私のお気に入りは『Masters Club』というサンドウィッチで、バターを塗ったバンズに、塩の利いたハムとチーズをはさんだシンプルなもの。コースに出るときは1個をカバンに入れ、1日2個は食べています。
 
そしてこれも驚きましたが、プレスビルディングでビールを注文することも可能です。日本人以外の国の方は普通に飲んでいます。しつこいですがもちろんすべてが無料。1つ快適でない部分を挙げるとすれば、日本人にとってはエアコンが効きすぎて寒いことでしょうか。アメリカの航空会社で飛行機に乗るときと同じですね。
 
ちなみに、先ほど紹介した『Masters Club』はコースの売店では1個3ドル。ほかのサンドウィッチだと『Egg Salad』(卵サンド)が1個1.5ドルで売られています。ほかにソフトドリンクは2ドル、ビールは5ドルとかなり良心的な価格設定。普通こういうところではここぞとばかりに高く売っていたりもしますが、意外な安さに驚きました。
 
コースの売店で買うドリンクは、プラスチックの容器にはマスターズのロゴが入っており、ゴミ箱に入っているのをほとんど見ません。パトロンたちは空いた容器を重ねて、お土産として持ち帰るため、ゴミが出ない仕組みなんです。そう考えると、ソフトドリンク2ドル、ビール5ドルはさらに安く思えてきませんか。ロゴ入り容器ほしさに、ビールを2個持ちしているパトロンもいたりして、当然コースのトイレには長蛇の列ができています…。(文・下村耕平)

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