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上井邦浩が1差2位で10回目の最終日最終組 プロデビューから18年の初V“最長記録”に挑む

上井邦浩、40歳。悲願のツアー初優勝をメジャーVで飾れるか?(撮影:藤井孝太郎)

<日本プロゴルフ選手権 3日目◇29日◇恵庭カントリー倶楽部(北海道)◇7441ヤード・パー72>

初優勝を期待されて十数年。40歳になった上井邦浩が2年ぶり10回目の最終日最終組に入った。首位と4打差から出たこの日は7バーディ・2ボギーの「67」と伸ばして、トータル9アンダー。首位と1打差の単独2位に浮上した。

スタート前の練習からショットの感触はよくなかった。「あまり期待していなかったんですけど、丁寧にマネジメントすることを心がけた」とスタートすると1番、2番と連続で7~8メートル、3番で4メートルを決めて3連続バーディ発進。後半も14番で8メートルを沈めるなど、バーディを量産。「ショットがよくなかったぶん、パットがカバーしれくれました」とひょうひょうと話す。

2005年にプロ転向した上井は、300ヤード級のドライバーショットとショートゲームのうまさを武器に08年に初シードを獲得。これまで最終日最終組は9回経験し、2位には5回入っているが優勝には手が届いていない。20代の頃は飛距離が魅力の“次世代の選手”と呼ぶ人もいたが、気がつけば40歳を過ぎている。

これまで2度シード落ちを経験したが、いずれもはい上がってきた。しかし、昨年は左母指腱鞘炎によりツアーを離脱して3度目のシード落ち。特別保証制度の適用を受けて、昨年の獲得賞金と今年4試合の獲得賞金を合算して、昨季シード最下位相当の金額を稼げばシード復活という状況だったが、4試合目の「ゴルフパートナーPRO-AMトーナメント」で7位タイに入ったが、わずか9万8916円足りずにシード復帰はならなかった。

それでも上井は前を向き、今季の賞金シードを獲るべく新しい戦いを始めている。ここまで6試合に出場して獲得賞金は534万4357円でランキングは59位。今大会も予選会を勝ち抜いて出場権をつかんだ。少ない試合数で稼いでおり、今大会の結果次第ではシードを確定させることも可能だ。

ただシードに加えて優勝の二文字までも欲しいはず。10度目の最終組は当然、優勝を意識しそうだが、「(優勝を)意識してもいいことはない。脳がそっちにいくのはよくないですよね。今週はキャディと会話しながらリラックスしてできています。明日も自分のやるべきことをやるだけです」。これまで何度も苦い経験をしてきた。優勝を意識しないように意識することもせず、難コースと向き合うことに集中する。

仮に上井が優勝となれば、プロデビュー戦から初優勝に要した日数は18年93日となり、野仲茂の17年94日を更新して最長記録となる。

ほかにもプロ転向後315試合目での優勝は史上4番目(最長は真板潔の393試合)。40歳275日での初優勝は15番目の年長記録(最年長記録はスチュアート・ジンの46歳135日)となる。また、今大会は2000年から大会独自の予選会を行っており、予選会出身者では初めての優勝となる。

直近の最終日最終組は、21年の「セガサミーカップ」。2位に2打差の単独首位に立っていたが、スタート直前にエースドライバーの破損が判明するアクシデントがあり、急遽サブドライバーで臨み、比嘉一貴に逆転負けで2位に終わった。まずは何事もなくスタートし、記録へと向かいたい。(文・小高拓)

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