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PING社員も驚く、まさかのテーラーメイドとの「10K」被り!それでもPINGの社長が平然とする理由

1月10日の同日発表となった、PINGとテーラーメイドの『10K』ドライバー

10日午前11時にテーラーメイドが『Qi10』シリーズを発表したが、遅れること4時間後、今度はピンゴルフジャパンが『G430 MAX 10K』ドライバーを含め、『ブループリントT』『同S』アイアン、『S159』ウェッジなど6つの2024年新製品を発表した。
 
両社ともトップ級のドライバー人気を誇るが、奇しくも同じ1月10日に【左右上下MOIが1万g-cm²=10K】という、業界初の“10K被り”が生じた形。これには「同じ日の午前午後で10Kの発表が被るとは…」「テーラーメイドさんも10Kとは、寝耳に水でした」「まさか情報が漏れているんですかね?」などと、困惑するPING社員の本音も聞かれた。

テーラーメイドが「10K」を達成したことに同社員が驚くのも無理はなく、これまで『ステルス2HD』の「8700」前後が最も大きいもので、今作『Qi10 MAX』で16%も引き上げ大台に到達。「上下左右MOI」という指標の言い出しっぺで、ずっと「歴代作を越えない限り新作を発売しない」PINGの得意分野にいきなり並ぶ衝撃があった。
 
ミスヒット時のヘッドの回転を抑制できても、「高MOIなら何でもいい」と言うわけではない。テーラーメイドは「高MOIなほどフェース面上の重心位置が上がりやすく、スピン量が増えやすくなるトレードオフの関係がある」とし、軽いカーボン素材を用いたカーボンウッドだからこそ、適正スピンの10Kができたことをアピールしていた。
 
こうなると、メディアや販売店、ギア識者などから「今年はピンとテーラーメイドの10K戦争だ!」と煽る向きが増えるのは間違いないが、ピンゴルフジャパン創業の20年前から同社を支える岡田健二社長は、冒頭挨拶から「これ(10K)が一番いいドライバーとは感じてない」と平然と言う。
 
「我々は飛距離を犠牲にすることなく、MOIの階段をずっと登り続けてきました。たまたま今回1万というラインを超えられたが、今回が一番いいドライバーか?と言われると、我々はそう感じてないです。既存の3つに新しいオプションとしてこれが加わって4つの中でフィッティングをして一番合うものが最適というのがPINGの考え方。ぜひフィッティングをしていただいて、一番合った『G430』を選んでいただきたい」(岡田氏)
 
プロダクト担当の山崎力氏も「1万という数字を超えるだけなら正直難しくない」と言い、高MOIにすることで初速や空気抵抗などトレードオフの部分を排除し「前作を全ての要素で超える」ことが重要だったと話す。結果、10Kになってもスピン量は既存の『MAX』より少なく『LST』寄り。高打ち出しでビッグキャリーを稼げるため「高MOI=飛び」との認識を促す。
 
10Kを達成したのに、9700の『G430 MAX』より低スピンに出来た理由の一端を、プロダクト統括の安齋氏は「カーボンクラウンを包み込むような形状にしつつ、『LST』の時はチタンの2本のバーでカーボン部を支えていたが、強度テストの結果これが要らないことが判明した」と説明。同等のスピン量なら、『LST』で球が散る人には『10K』を試す価値はありそうだ。
 
高MOIが苦手な記者も両社の『10K』を鳥カゴ打席でテスト。フィッターの方には申し訳ないが、両社ともシャフトが合わずに右へのミスが多発し、テーラーメイドは『Qi10LS』が最も好結果だった。『G430 MAX 10K』はシャフトを3回替えてフィッティングしてもらうと、振りやすくなって右へのミスが幾分軽減された。当たり前のことだが、一番重要なのは「フィッティング」という岡田社長の言葉が身に沁みた。

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