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初優勝のリ・ハナが『LIN-Q BLUE EX』で飛距離アップに成功できた理由

230ヤード前後だった平均飛距離を240ヤード以上まで伸ばしたリ・ハナ。疲労で飛距離が落ちやすいツアー終盤戦に、なぜ飛距離アップできたのか(GettyImages)

“ポスト・イ・ボミ”の最右翼に上り詰めたリ・ハナ 

国内女子ツアー2023年シーズン終盤に初優勝を挙げ、次世代のスター候補に名乗りを挙げたのがリ・ハナ(韓国)だ。
 
ハナは2019年にJLPGAのプロテストを受験。この時は不合格に終わるが、特別規定でQTに参戦し、2020-21年シーズンはステップ・アップ・ツアーを主戦場として3勝を挙げ、賞金女王に輝いた。2022年にはレギュラーツアーに主戦場を移し、優勝こそなかったがメルセデスランキング54位で準シードを獲得した。
 
2023年シーズンは、前半戦から安定した成績を残し、国内メジャー「ワールドレディスサロンパスカップ」では3位タイに。そして迎えた10月の「樋口久子 三菱電機レディス」で山下美夢有、仁井優花とのプレーオフ対決を制して、レギュラーツアー初優勝を掴んだのだ。

この試合は、ハナの敬愛するイ・ボミが国内女子ツアーを引退した「マスターズGCレディース」の翌週に開催された。今回の初優勝でハナは、日本で絶大な人気を誇った“スマイルキャンディ”の後継者候補に名乗りを挙げたと言えるだろう。
 
初優勝を挙げた終盤戦で10ヤード以上の飛距離アップに成功
 
ハナは元々ショットの安定感に優れた選手で、FWキープ率のスタッツは国内女子ツアーの中でも上位につけていた。一方で、平均飛距離は230ヤード前後と決して飛ぶ部類ではなく、多くの飛ばし屋が台頭し、パワーゲーム化が進む国内女子ツアーで安定した成績を残すには、飛距離アップこそ最大の課題だった。

しかし、初優勝を挙げた「樋口久子 三菱電機レディス」以降の試合ごとのスタッツをチェックすると、ハナの飛距離に明らかな変化があったことが分かる。
 
樋口久子 三菱電機レディス 平均飛距離236.67ヤード
TOTOジャパンクラシック 平均飛距離243.88ヤード
伊藤園レディス 平均飛距離243.25ヤード
大王製紙エリエールレディス 平均飛距離243.25ヤード
 
上記のようにほとんどの試合で平均飛距離240ヤード以上をマークしているのだ。春先は多くの試合で230ヤード台前半、試合によっては220ヤード台であったことを考えると、飛距離を大幅に伸ばしていることが分かる。
 
しかも、FWキープ率のスタッツも軒並み75%以上の数字を残し、優勝争いを演じた「伊藤園レディス」では42ホール中40ホールでフェアウェイを捉え、95.00%という驚異的な記録を残している。
 
なぜショットの安定感を高めながら、大幅に飛距離を伸ばすことができたのか? その秘密を探る内に、気になる情報をキャッチした。それは使用ギアの変更。ハナは、秋頃にシーズン終盤戦に向けてウッド類のシャフトをUSTマミヤの『LIN-Q BLUE EX』に一新していたのだ。

フェードからドローに球筋を変更、それに合わせてシャフトやスペックも見直した
 
ハナの飛距離アップに『LIN-Q BLUE EX』はどのように貢献したのか。USTマミヤのツアー担当・鈴木優吾氏にシャフト変更の経緯について聞いてみた。
 
「ハナプロは飛距離を伸ばすために、球筋をフェードからドローに変えていました。その中で、ダウンスイングで右肩が前に出て、引っかけのミスが多くなったという相談を受けていたので、『LIN-Q BLUE EX』を勧めました」
 
『LIN-Q BLUE EX』はぶ厚いインパクトと安定感で叩ける“飛び系”中元調子シャフトだ。さまざまな高級素材を駆使して、粘り強い切り返しやインパクトでの強い押し感を作り出し、ゴルファーの潜在能力を最大限引き出してくれる。中元調子でありながら、鋭いしなり戻りを感じることができるモデルになるため、引っかけを解消しながら、安定したドローを打つ上で最適なシャフトだったのだ。
 
さらに鈴木氏は、秋の終盤戦で飛距離を伸ばすための秘策があったと語る。
 
「長いシーズンを戦っていると、どうしても疲労が溜まるので、夏場から秋口にかけて飛距離を落とす選手が多いです。ハナプロには、それを防ぐため、春先は短く重いシャフトを使い、秋に長く軽いシャフトに変更しようという提案をしていました。重量と長さを調整することで、終盤戦に長いクラブでもしっかり振り戻せるようになると考えたのです。夏の終わりにやはり飛距離が落ちてきたので、そのタイミングでシャフトを今の『LIN-Q BLUE EX』に変更しました」
 
シャフトを長くすればヘッドが戻るまでに時間がかかり、振り遅れやすくなる。一方で、シャフトを重く短くしても、全体の剛性が高まる分、ヘッドの戻りが遅くなる。体が元気でしっかり振れる春先に短く、重いシャフトでタイミングを作っておけば、秋にシャフトを長く、軽くしてもタイミングのズレが小さくなり、すぐに適応できると鈴木氏は考えたのだ。
 
実際、ハナはスムーズに長く・軽いシャフトへと移行し、飛距離が落ちやすい終盤戦で逆に飛距離を大幅に伸ばすことに成功。初優勝という結果を残したのだ。

初優勝を挙げた時にハナは、「私はクラブのことがよく分かっていませんが、USTマミヤの方々が相談した内容に応じていろいろなクラブを作ってくれます。ドライバーやウッドを全部フィッティングしてから、すごくシャフトが合っているからクラブが振りやすくなりました」とコメント。まさにハナとUSTマミヤの信頼関係が生んだ飛距離アップ、そして初優勝だったのだ。
 
シャフトはゴルファーとヘッドをつなぐ重要パーツ。選び方や調整次第で、飛距離を大きく伸ばす可能性を秘めている。ハナが飛距離と安定感を両立させることに成功した『LIN-Q BLUE EX』は今後さらに注目を集めそうだ。

構成・文/田辺直喜

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