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カレッジゴルフで腕を磨いた2人が予選会で奮闘 谷田侑里香の窮地を救った“靴一足分”

谷田侑里香(左)と長野未祈。大学ゴルフ界で腕を磨いたふたりが奮闘している(撮影:ALBA)

<LPGA Qスクール(予選会)セカンドステージ 2日目◇18日◇プランテーションG&CC(米フロリダ州)◇ボブキャット・コース=6543ヤード・パー72、パンサー・コース=6363ヤード・パー72>

9月のステージ1をクリアして今週の戦いに挑んでいる谷田侑里香(ゆりか)は、まさに“土俵際”で踏ん張りながら「71」と伸ばした。これで順位もトータルイーブンパー・34位と最終予選会進出圏内にも浮上。「きょうはできるだけアンダーで回ってこようと思っていたので、すごく良かった。次の2日間につながるプレーでした」と、あすへの活力になる。

しぶとくパーを並べたご褒美は、最後にやってきた。インスタートの谷田にとっての最終ホール、9番パー5をバーディで締めくくることができた。こう言葉にするとシンプルに聞こえてしまうが、バーディフィニッシュに至るまでには谷田の頭のなかで“無数の計算”が弾き出されていた。その2打目はピンまで220ヤードという状況。「2オンを狙うか、3打目勝負にするかすごく悩みました。でも風を考慮したり、確率の問題で3打目勝負にしようと」。するとこれがズバリ、ハマった。3打目を3メートルにつけて、計算通りのバーディ締めだった。

「きょうはすごいラッキー」と、見えない力にも支えられた。前半12番で右、そして後半5番では左とティショットが曲がり、ボールが飛んでいく先には池が待ち構えていた。本人も『池ポチャ』を覚悟したほど。しかし、そのポイントに行ってみると、両方ともギリギリでボールが残っていた。「あと“靴一足分”でした。本当にラッキー」と何度も繰り返す。

「きのうはショットが良かったのに1オーバー。きょうはショットが悪かったけど、耐えながら1アンダーにできた」。こんな“ゴルフの不思議”も、改めて感じた。「攻守をしっかり。攻めるときは攻める、守る時は守ってパーを積み重ねたい」。幸運の追い風を、クレバーなゴルフで加速させたい。

谷田は高校から米国に渡り、2021年にミシガン州立大を卒業。この間は大学ゴルフで腕を磨いてきたが、大会にはもうひとり、現在オレゴン大に通い、やはりカレッジゴルフに打ち込むアマチュアの長野未祈(みのり)がいる。

「あまりミスもなかったし、ボギーを打ちそうなホールもなかったです」と話す通り、安定感あるプレーを続けた。3バーディ・1ボギー。これでトータル2アンダー・23位タイとし、日本勢8人の中でトップに立った。耐えながら好機を待っていたが、それは最後に訪れた。

17番でカラーからの4.5メートルをパターで沈めると、最終18番も2メートルにつけて、そのチャンスを生かす。前半には2メートルくらいのチャンスを2度外すなど、流れがつかみづらかったが、一気にまくり上げた。「調子はそんなに悪くない。自信をもつことと、全部ポジティブに考えてやっていけばうまくいくかな」。ラウンド中は、キャディを務める父・勝さんとの楽し気な様子も印象的だ。

長野はこれが2回目の予選会出場。前回は高校卒業前の2018年に受けたが、スコア誤記で失格になった。その誤記の原因になったのが、2日目に回ったパンサー・コースの14番だ。当時はクリークにハマり、それがスコアの記入ミスを誘った。そんな因縁のホールは緊張で少し手汗をかいたが、「普通に打って真っすぐいきました」と苦い記憶も克服した。

徐々に日本勢が増えていく米国女子ツアーだが、そこに長年住んで、ゴルフに打ち込んできた2人がこの予選会でも活躍を続けている。長野は大学の規定により、ここを通過しても最終予選会に出場はできないが、「優勝を目指す」とより高みを目指している。この予選会は、米国カレッジゴルフのレベルの高さも知ることができるかもしれない。

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