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12年目にして初V・鍋谷太一の気になる賞金の使い道は? 今季の躍進は“簡単な”アプローチにあり

「スピーダーチャレンジ 2023 決勝大会」に参加した鍋谷太一が今季を振り返った(撮影:山代厚男)

「一緒に回った子たちとか、ホールアウト後に待っていたジュニアの子たちから『優勝見てました』とか、『写真撮ってください』とかたくさん声をかけてもらって」と話すのは、11月の「カシオワールドオープン」でプロ12年目にして初優勝を飾った鍋谷太一。「スピーダーチャレンジ 2023 決勝大会」に参加していたジュニアから引っ張りだことなり「優勝できてよかったと思いますし、トッププロゴルファーの仲間入りできたかな」と、頬を緩ませた。

優勝時には「結婚して、『やるしかない』って自分のなかで吹っ切れて」と気持ちの変化があったと明かしていたが、今季の躍進の裏にはもちろんゴルフ面の変化もあった。

賞金ランキング45位となり、初シードを獲得した2022年シーズンだが「パーキープ率がすごい低かった」と課題も見つかった。「パーキープ率はアプローチやアイアンの精度にかかってくるので、データを分析して去年のオフに見直して」と、弱点克服を目指した。

特に力を入れたのは“簡単な”アプローチ。「何がができていないか、どういうシチュエーションで寄っていないとかを考えたときに、意外とショットはそこまでぶれてなくて。ちょっと外した場面から寄せきれないことがあったり、寄せたとしても1~1.5メートルの微妙な距離が残ったり」と、ピンチでないはずの場面がスコアを崩す要因となっていた。

また、「パーパットが入ったとしても『やっとパーが獲れた』って感じでストレスが溜まっていました。ジャブを打たれている感じですね。1日、2日ならいいですけど、4日間続いて、また次の週も同じことの繰り返しってなると、もたなくなってくる」と、些細なミスの積み重ねが徐々に鍋谷のメンタルを蝕んでいたのだ。

そこで、「自分のゴルフ人生のなかでも一番練習したってくらいアプローチを練習しました」。やったことは「基本的な練習をひたすらした感じで、応用のややこしいアプローチをしたわけじゃないです。簡単な上りの手前からのアプローチをたくさん。自分のフィーリングがすごくよくなって、ゴルフの幅が広がった」といい手ごたえをつかんだ。

シーズンに入ると「パー4でグリーンを外したときや、ロングでの3打目でOKにつくことがすごい増えた」と、結果もついてきてパーキープ率が84.480%(48位)から87.556%(6位)に改善。「OKにつくと、ポンって次のホールにいけるので気持ちの余裕が全然違くて。今年は試合の疲労度が全然違いましたね」と、気持ちよく1年を戦えた。

終わってみれば、優勝1回を含むトップ10入り6回で、キャリア最高の7349万円の賞金を稼ぐ飛躍の年となった鍋谷。気になる賞金の使い道だが、「クリスマスもあるので、嫁さんには何かいいものを買ってあげたいです。それと、どれっていうのは決めてませんが車を買いたいなって欲もあります」という。しかし、「ずっとお金がなかった時期もあったので、油断するのも嫌だなってのもありますね」と、苦労したからこそ慎重に使っていくことになりそうだ。

来季のさらなる飛躍に向けて取り組むのはバーディ率とパーオン率の改善。「今期はバーディ率とパーオン率が低かった。バーディを奪うためには、チャンスにつけるか、パットを入れるかしかない。平均パットはよかったので、パーオン率を上げたい」と、新たに見つかった弱点克服を目指す。「技術面でいえば、再現性のあるスイングを。でも、身体がないと、スイングの再現性も生まれないと思う。僕はウェイトをあまりしませんが、体幹とかバランスとか、下半身トレーニングをする予定です」と身体づくりに打ち込む。

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