【日本代表】清水和也「システムだけに頼らず、目の前の敵に勝つ」

日本代表は、10月7日にAFCアジアカップ予選の初戦を迎え、オーストラリアと戦う。同大会に向けて日本は9月28日から10月1日まで高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングを行い、その後、大会が行われる台湾へと移動して調整を続けている。

大会に向け、進化が問われるのはエース・清水和也だ。

10代の頃から将来を嘱望され、ベテラン選手たちの薫陶を受けながら成長を遂げた清水は、現在26歳に。前線でスコアを動かすピヴォとしても、チーム力を高める中軸選手としても、大きな期待を背負っている。

戦術的にも、さらなるレベルアップが求められている。現在、木暮ジャパンでは4人が連動する4-0システム(クワトロ)をベースにした戦いにシフトし、これまで3-1のピヴォとして強みを発揮していた清水も、流動的な連係への適応が不可欠だ。

加えて今シーズン、フウガドールすみだから名古屋オーシャンズへ拠点を移すなかで、リーグ戦の15試合で6得点とゴール数を伸ばせていない。代表チームとクラブで共通して、決定力と適応力の課題は明白だ。

国内合宿を終えた直後の清水に話を聞いた。

【日本代表】メンバー&スケジュール

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課題を一つひとつ消化している段階

──まずは、国内のトレーニングを終えた今の気持ちを教えてください。

非常に強度が高く、集中したトレーニングができました。

──直近の名古屋でのプレーも含めて、個人としてのコンディションはいかがですか?

昨シーズンと比べるとまだまだ物足りないですし、個人で抱えているいくつかの課題や壁があり、今はそれを一つひとつ消化している段階だと思っています。なるべく早く解決して結果で示さなければいけませんが、目の前にある問題に対して向き合うことは今後の糧になると信じています。なので今は、この状況をどう乗り越えるかにフォーカスしたいです。

──物足りなさというのは、やはり得点の部分でしょうか?

スコアの部分もそうですけど、チームを勝たせる存在として結果を出せていないという点ですかね。

──それは個人としての問題が大きいのか、それともチーム全体の噛み合わせなのか、どちらの要因が大きいでしょうか?

名古屋でのプレーについてはまだ移籍して1年目なので、フィットしきれず思うように動けていない部分も正直あります。それでも、決めるべきところで決めるという単純な作業ができていないのは、自分の力不足だと感じています。

──代表チームでは3-1から4-0(クワトロ)に力を入れ始めて、変化に順応するという意味では自チームでの課題と被る部分もあるかと思います。この大きな戦術変更について、ピヴォとして感じていることや意識していることはありますか?

チームのコンセプトとしては、ピヴォを使った3-1の形もあれば4-0を使う場面もあり、戦い方のバリエーションも増えたことで、自分たちに求められていることも少しずつ複雑になってきています。それを試合で遂行できるかどうかは自分自身の技量にかかっていますし、監督から一番期待されているのは今までと変わらずスコアを動かすことなので、今回の合宿ではそこに対してもブレずに取り組めたと思います。

クワトロの動きについてはまだ改善しなければいけないところもありますが、チームメートに助けられながら毎セッションごとに手応えを感じています。

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各国が目の色を変えて日本に挑んでくる

──特に2023年に入ってからクワトロに力を入れ始めたと思いますが、新しい戦術でブラジルやイランといった強豪国と戦ってみた収穫と課題を教えてください。

ディフェンスをする時間が長くなって、自分たちがボールを保持できる時間が限られてしまうという課題は変わらずありますね。一方でここ数年で進歩している部分もありますし、今の戦い方のスタンスは自分たちの助けになるんじゃないかなと思います。

ただ、いい試合をしたとしても結果として勝てていないのは受け止めないといけません。強豪国と“惜しい試合”をするだけではなく勝つチームになるためには、新しいシステムに頼るだけではなく、シンプルに目の前の敵に負けないことが重要です。

各々与えられた役割をしっかりと遂行できた時に初めて勝利という結果がついてくると思うので、直近の試合で得られたものを生かしながら、できていなかった部分は早急に修正していきたいです。

──進歩しているという話がありましたが、特にイラン戦に関しては途中まで主導権をにぎって試合を進めていただけに、失点の仕方がもったいなかった印象でした。ピッチ上ではどう感じていましたか?

対策もしていたカウンターから失点してしまったことは、引き続きチームとしての課題かなと思います。あとはやっぱりシュートチャンスがつくれていたなかで、決めきれなかったことも反省点です。

拮抗した試合では最後まで体を張るとか、どの時間帯でも1対1に競り勝つという細かい部分が勝敗を分けるので、全体の結果だけでなく一つのプレーにおいても、相手に「負けない」ことを徹底しなければいけません。イランも僕たちのやり方を嫌がっていて、今まで見たことのない焦り具合をピッチでも感じていたので、今後は逆に僕らが仕留めてやるという意識が大事になると思います。

──清水選手としては今の戦術に順応しながらも、3-1のピヴォとしての強みをどこで発揮していくかが、今大会のポイントですか?

そうですね。世界のフィクソに負けない体も求められている部分ですが、そこで戦えないからクワトロのベースになっているという現状も踏まえつつ、今の戦術に適応できるように向き合っている最中です。一方でピヴォとして得点にはこだわり続けることも必要です。

先日のブラジル戦ではディエゴにいいようにやられてしまったので、ディフェンスの部分も見直さなければいけません。世界屈指のドリブラーを止めてこそ守備が成り立っていると言えると思うので、攻守での役割を全うしていきたいです。

──今回のアジアカップは、W杯予選も兼ねた重要な大会です。2021年のリトアニアW杯からメンバーも大きく入れ替わりましたが、前回大会を知る数少ないメンバーとして、今の心持ちや意気込みを教えてください。

今のチームではリトアニアでの戦いを経験したメンバーも少なくなりましたし、2020年はコロナの影響で中止になってしまったので、僕自身もW杯の切符がかかったアジアカップは初めてです。

前回のアジアカップで優勝したことで各国が目の色を変えて日本に挑んでくるなか、僕たちはW杯の出場権を獲得するという最低限の目標を達成しなければいけません。もちろんその先の戦いを考えても、より緊張感のある大会になるんじゃないかなと。ただ、一次予選だからといって特別に気負うのではなく、その先を見据えて一戦一戦を消化していくことが大事だと思っています。これまでの経験を生かして若い選手を引っ張っていきながら、得点を取るところには貪欲に、ブレずにやっていきたいです。

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