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【編集長コラム】金沢ポートがホームマッチにキッズルームを設置する理由

卓球の会場応援とは

「スポーツ観戦における会場応援」と言っても、インプレー中に応援の声を出せるスポーツかどうかによって、応援スタイルは全く異なる。

Tリーグが鳴り物を禁止していることにもわかるように、卓球はインプレー中は応援の声を出さない競技だ。野球やサッカー、バスケットとは、会場応援の前提条件が全く異なる。当たり前だが、似ているのはテニスだ。

歴史的に、卓球の会場応援は、団体応援を除けば、拍手、感嘆のどよめき、落胆のため息、関係者・コアファンからの選手への掛け声に彩られてきた。

その土台の上に、Tリーグ各チームは何を加えられるか、という創意工夫を凝らす段階だと思っている。

Tリーグ観戦における応援タイミング

応援が入れられるタイミングは、大きく分けると下記3つのタイミングだ。

①得点が決まってから次のサービスに入るまで(タオルタイムは少し長め)

競った場面や、好ラリーの後には手拍子を煽るMCコメントを入れたいところだが、案外時間が短く、選手が次のサービスモーションに入りたいのにまだMCコメントや手拍子が続いているという、本末転倒の場面も散見される(金沢ポートでは無いはずだが)。

ただ、好プレーの直後にどれだけ会場応援の盛り上がりを作れるかは非常に重要なため、MCと演出の腕が問われる部分でもある。

田中佑汰(金沢ポート)
写真:田中佑汰(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

金沢ポート
写真:MCを務める端野幸治さん(写真右)と応援団長の通称“カワニャン”(写真左)/撮影:ラリーズ編集部

②試合前ラリー、タイムアウト、ゲーム間、マッチ間の各1分間

この各1分間をもっと生かしたいと思っている。

どのチームも、MCの“煽り”の後、選手名・チーム名+手拍子が一般的だ。

60秒間、最初から声出しを行うとお客さんも疲れてしまうこと、監督と選手のコミュニケーションが聞こえづらくなることがわかったので、現在は最後20秒くらいに声出しを始めるようにしている。

チームタオルを振るなど、声出し以外のバリエーションも考えていきたい。

五十嵐史弥(金沢ポート)
写真:ベンチでアドバイスを受ける五十嵐史弥(金沢ポート)/撮影:ラリーズ編集部

③試合開始前、試合終了後の時間

Jリーグでは、試合前・試合後にはチャントを歌ってチームを鼓舞している。

テーマソングを用意しているTリーグチームもあって、卓球応援でうまく馴染めば面白いかもしれない。まだ私たちには自信がないが、来季試してみるべき応援パートだと思っている。

「サービス出すとき赤ちゃん泣いたら…」問題

直接応援とは関係がないが、会場空間として大事な問題である。張り詰めた局面で、サービスに入った瞬間、赤ちゃんが泣き始めたら、主催者はどうするべきか。

ベビーカーを押して来場していただくお客さんも多いのだ。3歳から100歳まで、と卓球人自身が形容する以上、観客年齢の幅広さは、Tリーグが守るべき生命線だ。赤ちゃんが泣く可能性がある間はご来場のご遠慮を、などと主催者は絶対に言うべきではない。

しかし、選手の心情や、多様な観客心理を考えると、泣き出してしまった赤ちゃんとその親御さんをそのままにしておくことも、主催者の責任放棄だ。

ひとまずの提案として、モニター付のキッズルームを毎回用意している。そして、ご来場の際にまずスタッフがお声がけして、キッズルームのサービスと、スタッフからご案内のお声がけをする場合もある旨、先にお伝えすることにした。

キッズルーム告知

まだまだ改善・挑戦することばかりだが、そのプロセスをなるべく公開することで、金沢ポート、そしてTリーグ観戦価値の向上に寄与できればと思っている。

文:槌谷昭人(ラリーズ編集長 兼 金沢ポート取締役)

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