
強度の高いプレスの旗手、日本代表キャプテン吉川智貴の矜持|ブルーノ・ジャパンの肖像
「動きの速さと、動きの量だ」
監督は説く。
「これは局地戦だ。つまり実力差があっても、ここだけは絶対勝てるというポイントで勝負する……河田弟との1対1なら…絶対に桜木君だ」
説明不要。団体競技の真髄と勝負事の真理を描いた、世界最高のスポーツ漫画からの引用である。さて、バスケットボールの話はとりあえず、愛すべきフットサルの、我らが日本代表の、話をしよう。
スペイン王朝、ブラジル王朝、アルゼンチン王朝に勝つには……。
山王戦の湘北のように、フットサル日本代表も“10回に1回”の試合をしなければならない。総合力で劣る日本が王朝に対抗できるポイントはどこなのか……ヒントは吉川智貴がかつてスペインリーグで示した彼の、そして日本人の、ストロングにある。
「チェイシング、プレッシング。1列目のディフェンスをスペインでは評価してもらえました」と吉川は話す。
「動きの速さと、動きの量なら、絶対に吉川くんですよ」
監督がそう言ったわけではいないが、世界最高峰のリーグが評価し、2019年にアジア最優秀選手賞を受賞した「吉川智貴のスロトング」を生かさない手はない。
事実として、「強度の高いプレス」はブルーノ・ジャパンの代名詞となっている。
すべての団体競技は、時に局地戦であり、常に総力戦である。吉川と同じようなストロングを持つ選手と、それを活かせる選手が、今の日本代表には集まっている。まさに吉川智貴の積分。そうやって日本人のストロングを最大化すれば、あるいは…
勝てますよ。
あんざい……もとい、ブルーノ・ジャパンの肖像──最終回は、我らが日本代表キャプテン・吉川智貴、日本最高の選手の話。
インタビュー=高田宗太郎、本田好伸
文=高田宗太郎
※取材は7月8日に実施しました
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