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えっ 女子ツアーに伊澤利光? 見守る先にレッスンスタジオ時代の教え子がいた!

伊澤利光の視線の先には…(撮影:ALBA)

<Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント 2日目◇18日◇鹿児島高牧CC(鹿児島県)◇6419ヤード・パー72>

鹿児島で行われている国内女子ツアーの会場で、ギャラリーが思わず2度見する男が…。タイトリストのキャップをかぶり、首には『COACH』というバッジをぶら下げている。レギュラーツアーで賞金王を2度獲得している伊澤利光だ。

伊澤といえば、2001年の「マスターズ」で当時日本勢最高成績となる4位タイ、02年の「WGC-ワールドカップ」で丸山茂樹とのコンビで優勝するなど、国内だけでなく海外でもインパクトを残したレジェンド。01年は国内男子ツーで5勝を挙げ、歴代1位となる2億1793万円を稼いで初めて賞金王を獲得。03年には2度目の賞金王に輝いている。

しかし伊澤は、大型ヘッドドライバーの対応に苦しみ、12年にレギュラーツアーのシードが切れたのを最後に一度は第一線から退いた。そして14年7月に福岡で屋内レッスンスタジオ「伊澤ゴルフアカデミー」を開校。アマチュアに対してレッスンを行っていた。

16年に4年のブランクを経て再びツアーに復帰。スタジオもたたんで、55歳となった現在は国内シニアツアーを主戦場としてプレーしている。かつてアーノルド・パーマー(米国)から“キング・オブ・スイング”といわれた美しいスイングと、飛距離のアドバンテージはいまも健在だ。

しかし、どうして女子の会場に? 実はレッスンスタジオ時代の生徒の一人が今大会に出場している。伊澤のスタジオから30分の距離に住んでいた天本ハルカだ。9年前、伊澤が福岡にレッスンスタジオを始めると知った当時高校生の天本は、自ら習いたいと親に頼み込み、生徒としてスイングを見てもらうように。そして、スタジオがなくなった現在も師弟関係が続いている。スタジオ出身でプロとなり伊澤が教えている選手には、ステップを主戦場とする但馬友(たじま・ゆう)もいる。

2週前の開幕戦を終えた天本が伊澤に「鹿児島に来てください」とリクエスト。それに対して伊澤は「何もないしいいよ」と快諾し、今週は火曜日の練習日からつきっきりで天本を見ている。そのために女子ツアー会場に来たのは、伊澤にとっても初めてのことだ。

畑岡奈紗や渋野日向子と同じ1998年度生まれの天本は、昨シーズン35試合に出場してメルセデス・ランキング70位で50位以内のシードに届かず。今季はQTランキング32位の資格でツアーに出場している。ショットメーカーの伊澤の教えを受けているだけあって「ショットは申し分ない。いうことはないよね」。それでも今季2戦で41位、予選落ちと成績が伸び悩んでいるのは「パターだねー」と課題は見えている。

「去年もそうだけど、予選通過ラインでやっと通って、結局トータル2アンダーとか3アンダーになっちゃう。きのうアドバイスしたのはリズム感。上手い人に聞くと『リズム感に気をつけています』って言うよね。2メートルも7メートルも振り幅は変わるんだけど、同じリズム感で打たないといけない」

そういって見ていた2日目も、天本はカットライン上でプレー。結局トータル1アンダー・44位タイでギリギリ予選通過を果たした。「いつも熱いところよ。バーディだと思って余裕ができるとすぐにボギー打っちゃったり…」。伊澤は毎週スマホでハラハラしながら天本のスコアをリアルタイムでチェックしている。

「俺だって教えているんだったら、シード入れてあげたい。本人もシードに入りたいし優勝したいのも当たり前だからさ。そこまでなんとかしてあげたい」。天本はリランキングまでに少しでもポイントを積み重ねて、後半の出場権を確保しなければならない立場。一週間見守ってくれている師匠の前で、少しでも良い順位で大会を終えたい。(文・下村耕平)

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