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亡き祖母へ涙の誓い 原英莉花は侍ジャパンの姿も力に「スポーツってこんなに感動するんだな」

侍ジャパンの活躍も力に。原英莉花が亡き祖母に捧げるV狙う(撮影:福田文平)

<アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI 事前情報◇23日◇UMKカントリークラブ(宮崎県)◇6565ヤード・パー72>

先週の鹿児島では最終日に「65」のビッグスコアをたたき出し、3位でフィニッシュした原英莉花。宮崎で開幕前日の状態について聞かれると、「いい感じ~(笑)」と明るい言葉が返ってくる。

「ショットでピンを攻めていける気がしています」というのが、その手ごたえの要因。「ミスを怖がっている自分がいるので、それを打破しないといけないと思った。“1つのミスがなんのその!”っていう気持ちで、1回ピンを狙おうと思ったら、もともと思った通りのボールは打てているから(チャンスに)つくようになって」と、先週の成功体験が背中を押してくれそうだ。

2週前には予選落ちを喫したが、その初日に同組になった勝みなみ、古江彩佳のプレーを見て「怖がらずに攻めてくるな。こうじゃないと勝てないよな」ということを痛感。「安全なところを狙いがちだった。ただその狙ったところには打てている。だけどチャンスになってなくてもったいない」と好調なショットをスコアにつなげられていなかったことを反省し、ミスを恐れないことの大事さを再確認した。今週は開幕前から降り続く雨の影響でグリーンは重く、そしてボールが止まることが予想される。そのコンディションでは、なおさらピンを狙う気持ちが大事になってくる。

今週は“2つのパワー”を得てプレーすることになる。日本中が沸いた、侍ジャパンのWBC制覇がそのひとつ。「(決勝は)興奮しました。最後すごいドラマでしたよね」と、いちファンとして応援を続けた。特に準決勝のメキシコ戦で村上宗隆(東京ヤクルトスワローズ)が放ったサヨナラヒットは、「ずっと苦しんでるなかで、最後にあの集中力が出せるのはすばらしいと思った」と同じアスリートとして感じるものも大きかった。

「スポーツってこんなに感動するんだなって。感極まりました。私もスポーツ選手ですけど自分はプレーしているほうだし、これまでそういう感覚はなかった。こんなにも(選手の)心情を思い浮かべるのも初めてでした。期待をあれだけ背負って、ずっと戦っている姿はすばらしい。村上選手は、人間じゃないみたい、神ですね(笑)」

WBCのことを語る時は興奮そのままという口ぶりだったが、2年前のこの大会のことを思い出すと目には涙があふれた。これが2つ目で、何よりも大きな支えになりそうだ。

2021年大会開幕前だった3月24日に祖母が他界。今も、ここに来ると大好きだったおばあちゃんのために活躍したいという思いが真っ先にやってくる。当時は宮崎で危篤の連絡を受けると、一度祖母が入院していた神奈川県内の病院へ。そこで別れの言葉をかけると、再び宮崎に戻りプレーした。「黒は着たくなかった」と全身白のウェアに身を包み、全力で戦い抜いた。

「今でもここに来たことをまだ後悔していて。またなんで(宮崎に)戻ったんだろうって。でも私はゴルフを頑張るっておばあちゃんにずっと誓ってきた。ここでいい戦いをして、おばあちゃんに届けたいですね」。その時は3位でフィニッシュしている。感動、そして大事な人への思いを胸に、原はピンを攻め続ける。(文・間宮輝憲)

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