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「奇跡」の超ロングパット決め大歓声 “先輩エリカ”を最後に交わした原英莉花が単独首位に浮上

あらゆる距離からパットをねじ込んだ原英莉花。2つめの日本タイトルへ視界良好だ(撮影:佐々木啓)

<日本女子オープン 3日目◇30日◇芦原ゴルフクラブ 海コース(福井県)◇6528ヤード・パー72>

最終18番、5メートルのバーディパットを決めると、グッと右手の拳を握る。これで並走を続けてきた菊地絵理香を1打かわし、トータル11アンダーで単独トップに躍り出た。「きょうは運がよかったですね」。とにかく長いパットが決まったことが印象的な一日だった。

まずは手前バンカーからの3打目を7メートルと寄せきれなかった1番パー5で、これを決めたのが号砲。だが、さらにグリーン周りをどよめかせたのが3番パー3だった。ティショットは右手前ピンに対し、グリーン奥に着弾。そして、しっかりと時間を取り放った22メートルのバーディパットは、かなりの勢いでカップに向かうと、最後にスライスして消えた。

もし外れていたら、かなりオーバーしていそうな球足だったが、「(外れた時のことは)考えないようにしました。難しいラインなのでショートはしないように」と果敢に打ち切った。「奇跡ですね」。本人も驚いたような表情のまま、ギャラリーの大歓声に頭を下げて応える。これだけでなく8番も9メートル、15番も10メートルを叩きこんで奪ったバーディだった。

「69」とスコアを伸ばしながらも、2日目は右にプッシュするパットが出ていたのが気になっていた。そこで順回転させる球を打つことを心がけ調整。その修正がうまくいき「スムーズにストロークできたのが、カップに吸い込まれました」という手ごたえを感じられたのは、最終日に向けても安心材料になる。

昨年大会に続く“えりか対決”は、多くのギャラリーを引き連れた。3打差を追いかけてスタートした原は「楽しく」プレーすることを念頭に、先輩の背中を追いかける。22メートルパットを決めた直後の4番では4メートルのパーパットを沈めるなど、ピンチもやはりパターでしのぎ、流れを手放さない。追いついては離され、また追いつき、そして最後に逆転する展開。メジャーらしい緊張感が漂う18ホールだった。

2020年に続く大会2勝目へ、一番近い場所についた。幼少時代から「憧れ」だった大会を初めて制した時はコロナ禍で無観客試合だったが、今回は最終日も長蛇のギャラリーがそのプレーを見守ることになる。「きょうもたくさんいましたけど、あまり盛り上がりすぎないように落ち着いてプレーしたい」。クライマックスの18番グリーン。そこでも印象的なウィニングパットを決め、きょうよりも派手なガッツポーズで日本一の歓喜を表現したい。(文・間宮輝憲)

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