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中日の若手投手陣がピッチングテストを実施!落合英二ヘッド兼投手コーチの狙いとは?

落合コーチが「自信を持っている」というピッチングテスト。選手にプレッシャーを与えることで資質を見極めるのだという。写真:岩国誠
 中日キャンプ第1クール最終日。午前中の投手練習では、落合英二ヘッド兼投手コーチ発案のストライクテストが行なわれた。

「10球を3セット投げて、どれだけストライクが取れるか。過去、他のところでは何度もやってきて、自信を持っているメニューです」

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 読谷二軍キャンプからの4投手を含め、参加投手は17名。主力組やベテラン、ルーキーの石森大誠は含まれておらず、開幕一軍を目指す若手が中心。そのうち上位12名が、11日に予定されている紅白戦登板の権利を得られるとあって、開幕一軍へ向けて、最初のアピールの場となった。

 あいにくの雨模様の中、最初のグループがブルペンに登場し、それぞれが肩を作り始める。テスト開始時間は決まっているので、それまでの時間をどう過ごすかも考えなくてないけない。より多くのストライクを投げるためにはどうするべきか。普段とはまた違った緊張感がブルペンを包んだ。

「ずっと投手たちの見ていましたが、30球テストの前に、ずーっとキャッチボールして、ずーっとピッチングをしていた。30球投げるのに、どれだけ投げるんだっていうくらいに。すごい不安と闘っていたんじゃないですか。実際の試合では、中継ぎなんて20球投げるか投げないかくらいですが、その準備の大変さが分かればいいなと。みんな相当投げたんじゃないですかね」(落合ヘッド)
  午前10時20分、ストライクテストスタート。5人が同時に集中力を高めて、ボールを投げ、ブルペンの至る所で審判のストライクコールが響き渡る。一軍争いをかける投手たちは、激しさを増す雨を気にする素振りも見せず、ただひたすらに集中し、ストライクゾーンを狙って投げ続けた。全4組、17名が投げ終えた時には、2時間を過ぎ、室内練習場では、午後スタートだった野手練習も始まっていた。

 トップ3は、3年目・岡野祐一郎(25球)、2年目・高橋宏斗(24球)、そして育成左腕の2年目・上田洸太朗(22球)となった。

「上田くんは、秋のキャンプで良かったから、ここ(北谷)にいるので、それが継続できているということは良かったと思う。岡野くんはもう、これ(コントロール)がなければ勝負できないと思っていますので、その答えを出してくれました。高橋くんは全く計算していなかったので、予想以上。フォームに落ち着きが出てきているので、これが基本となって、パワーアップしていけたらいいなと思っています」
  そう3投手を評価した落合ヘッド。ただ今回のテストは、単純に紅白戦への切符をかけただけではない。一体どういう効果を狙ってのものだったのか。

「結局、プレッシャーをかけないと良い練習にはならない。自分から崩れていく投手っていうのは、個別で誰も見ていないところで投げているというところが多い。どれだけ人に見られているところで投げているか。やっぱりみんなが見ているところで、自分にプレッシャーをかけていかないと強くはなりません」

 練習のための練習では意味がない。落合ヘッドの発言から、緊張感ある中で力を発揮できる投手になるため、普段の練習から実戦をより意識できるよう、各投手に気づきを与える意図も見えた。さらに今後のコーチングにおいて、確認しておきたいポイントもあった。

「10球3セットのこのテストは、ストライクの数より、何セット目の数字が悪いのかを見ておきたかった。例えば、1セット目が悪い投手なら『いざ登板となった時に、自分で勝手にプレッシャーをかけて、自分で勝手に崩れていく投手』。それがテストでは何人もいたので、シーズンにも繋がってくるのではないかなと。そして、3セット目の数字が悪い投手は『再現性のスタミナがない』。これは投げる体力でもあり、精神面のこともあるかと思う。そういうものが見えたので、各投手の特徴が把握できたというのが、僕の中では収穫だと思います」
  今回のテストの結果を受け、把握した各投手の特徴を踏まえて、第2クール以降、紅白戦へ向けてそれぞれの課題に即した練習を課していく。

 一方、下位5投手は7日のライブピッチング(シート打撃)で”追試登板”が予定されている。しかし、5番目のストライク18球に、3投手(清水達也・鈴木博志・福島章太)が入ったことで、テストの合格者は10名。3投手のほか、加藤翼(15球)・橋本侑樹・近藤廉(14球)・マルク(13球)の7名が、ライブピッチングに回ることとなった。

「ストライクが欲しくて置きにいく投手もいる中、読谷から来た福島くんは、最初から最後まで腕が振れていたのは評価したい。あと、近藤くんなんかはブルペンで見栄えが悪くても、打者相手ではピシャッといかないと。つまらせていく投手なので、それは近藤くんには言いました」

 この日で第1クールは終了。「見ていただけで何もしていない」という落合ヘッドが仕掛けた若手投手陣のサバイバルレース。この先、開幕まで続くその争いから、抜け出してくるのは果たして誰なのか。

取材・文●岩国誠

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