• HOME
  • 記事
  • ゴルフ
  • サウジにミサイル売却が発覚 PGAツアーが新タイトルスポンサーを拒否へ

サウジにミサイル売却が発覚 PGAツアーが新タイトルスポンサーを拒否へ

歴史と伝統のバイロン・ネルソンが新スポンサートラブル(撮影:GettyImages)

今週、テキサス州ダラスで開催されているPGAツアー「AT&Tバイロン・ネルソン」の来季以降のスポンサーに突如危機が発生している。2015年から同大会のタイトルスポンサーを務めていたAT&Tは今年で終了。24年からは“レイセオン・テクノロジーズ”が予定されていたが、突如PGAツアーのジェイ・モナハン会長が拒否。米ゴルフウィーク誌が伝えている。

あまり馴染みのないこの“レイセオン・テクノロジーズ”社は、実は世界でも有数の軍事産業会社。04年に軍需製品メーカーのレイセオン・カンパニーと航空機エンジン、空調装置などを製造していたユナイテッド・テクノロジーズと合併し、現在の“レイセオン・テクノリジーズ”が誕生している。ところがタイトルスポンサーを締結する直前に、同社がサウジアラビアへミサイルを販売していることがわかり、モナハン会長が直ちに契約締結を拒否したという。

米国務省は昨年8月、サウジアラビアへの地対空ミサイルの売却を承認。サウジアラビアは“レイセオン・テクノリジーズ”社製の“MIMー104Eパトリオット・ミサイル”を300機購入するとされ、同社は3億ドル(約4000億円)以上の利益が見込まれているという。

そのサウジアラビアの政府系ファンドがバックアップする「LIVゴルフ」が昨年から新リーグとして開幕。トップ選手に破格の支度金を支払うなどし高額賞金大会を開催。2年目となる今年は14大会が行われる。同リーグに参戦したPGAツアーの選手はツアーから出場停止などの処分が科され、LIVゴルフは「独占禁止法違反」として提訴するなど、対立が続いている。

AT&Tバイロン・ネルソンは1944年から開始されたPGAツアー9番目に歴史ある大会。68年から米ツアー52勝、ゴルフ殿堂を果たした故バイロン・ネルソン氏がホストを務めた。新しいタイトルスポンサーについては現在未定とされている。(文・武川玲子=米国在住)

関連記事