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2週連続V目指す吉本ここね 癒やしは自宅にいる犬と猫「本当に落ち着きます」【大和笑莉奈の突撃ステップ・アップ便り】

ゴルフに取り組む姿勢も真っすぐな吉本ここね(撮影:佐々木啓)

国内女子下部ツアーのステップ・アップ・ツアーは、16~18日まで今季第10戦「ユピテル・静岡新聞SBSレディース」が、静岡県の静岡カントリー浜岡コースで開催される。8回目を迎える今大会は、土日の17、18日は4年ぶりにギャラリーの観戦が復活。今回は前週の「ルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディース」でプレーオフを制しステップ初優勝を挙げた北海道出身の吉本ここねに、大和笑莉奈が迫る。

■ショットの悪い癖を直し、パットのストロークを矯正
 
吉本は昨年のステップでの成績は出場16試合でトップ10回が2回、賞金ランキングは31位(335万2750円)だった。今季はここまで9試合で優勝を含むトップ10は2回を数え、賞金ランキングは5位(542万83円)と昨年の獲得賞金をすでに上回っている。
 
調子が上向いてきたきっかけを大和が聞くと、「ショットはシーズンが始まる前に直したところもあったり、パターもストロークをいままでと違う意識にして良くなってきた」という。これまでショットのテークバックでは手先で「ピュッと」ヘッドを持ち上げる悪い癖があったが、「タメながら上げるように意識」。むしろ、ヘッドを置いてくるような感覚で上げることで、クラブと体の同調感が生まれ、パーオン率が昨年の60.6%から今年は63.5%へと向上した。
 
さらにパターについては、『Wellstroke(ウェルストローク)』という練習器具を使い始めた。これはパターマットのようにシート状になっており、その上にはヘッドの軌道が描かれている。この上をなぞるように家でも練習グリーンでもストロークすることで、「感覚ではなく、正しく動かすのが大事」と気づいた。コーチはつけておらず、父を含め家族が協力して行ってきた地道な練習が、今回実を結んだ形だ。
 
■2泊できるなら、犬と猫が待つ北海道に帰る
 
そして、話題は吉本のプライベートへ。いまも実家のある北海道が拠点で、「2泊できるようなら帰るようにしています」と、頻繁に家でリフレッシュしている。その癒やしとなっているのが、自宅にいる犬と猫。「ちょっと会えるだけで本当に落ち着きます」と吉本は話す。大和が「優勝したからいい餌にグレードアップ?」と聞くと、「そうですね」と笑う。
 
今回、静岡までの移動手段は、北海道から羽田までは飛行機で飛び、そこから母がレンタカーを運転する。吉本も「長距離だけど安心です」と、母の運転に全幅の信頼を置く。自宅で犬と猫に癒やされ、母のサポートでストレスなく移動できている。
 
■砲台グリーンに打っていくアイアンの距離感がカギ
 
いよいよあすから3日間大会が始まるが、昨年はフェービー・ヤオ(台湾)がトータル5アンダーで優勝。吉本はトータル6オーバーで33位タイに終わった。「きのうの雨でまだスピードが出ていない。コースはところどころ長いところがあって、風向きによって難しくなりそう」と予測する。
 
さらに、「グリーンが砲台のところもあるので、セカンドの距離感が大事。外しちゃいけないところに外したくない」と、コースマネジメントにもウェイトを置く3日間となりそうだ。
 
今季、レギュラーツアーの出場は3月の「アクサレディス in MIYAZAKI」だけ。そのときは予選を通過して47位タイに入った。「レギュラーはこのあと2、3試合だと思う。そこでポイントを稼げたらいいけど、とにかく、レギュラーもステップも目の前の試合に全力で頑張って、2勝目を目指したい」と、この1勝に浮かれることなく、一打一試合にベストを尽くす考え。この発言に大和は「毎回新たな姿勢というのが、なんだかんだ一番重要だと思う」とうなずく。
 
最後に吉本は「今回もたくさん応援してくださった力で優勝できたなと思っていますし、今後も変わらず応援していただけたら。またそれが力になって頑張らなきゃと気合いも入る。注目して見ていただいたらうれしいです」と、ファンに向けて穏やかにメッセージ。どこまでも謙虚な23歳が2週連続Vを目指す。
 
解説:大和笑莉奈(やまと・えりな)
1990年2月13日生まれ、山形県出身。中学時代にはアルペンスキーで全国大会出場経験も持つ。宮里藍らを輩出してきた名門の東北高校ゴルフ部に進み腕を磨くと、2009年のプロテストに合格。13年には「エディオンレディースカップ」でステップ・アップ・ツアー優勝。レギュラーツアーでも優勝争いを経験してきた。現在はテレビでの解説なども務め、21年にはゴルフ業界活性化、女子プロゴルファーの新たな可能性追求のため、「LPGA女子プロゴルファーズ連盟」を立ち上げた。

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