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コース到着時の荷下ろしサービスが消滅? ゴルフ場もリスク回避の時代へ

最近流行りのSUVタイプの車なら、開口部が広いため、ボディに傷が付く可能性は低い(撮影:ALBA)

「ゴルフがメインになる場合の自動車選びは?」 という相談を時々受けます。オールドゴルファーの中には、ゴルフ=セダンと考えている人もいます。とはいえ、最近はセダンタイプのラインナップ自体が減っていて選択肢が少ないですし、実際に使用してみるとSUVやミニバンの方がゴルフ用としてはるかに使い勝手が良いですよ、と推薦しています。

「オススメされて、セダンを諦めて良かったよ」と、感謝とお礼の連絡がありました。詳細を聞くと、その人が会員になっているコースが、“セダンタイプのお車でご来場のお客様はエントランスでの荷物の積み下ろしをセルフで行うようにお願いしております”という決まりになったそうで、昨年購入した新車はSUVのため、今まで通りスタッフが積み下ろしをしてくれるから、ちょっとだけ得した気分になれるというわけだったのです。

そういえば、昨年ぐらいから奇妙な噂が流れていたことを思い出しました。

ゴルフコースのスタッフが車から荷物を下ろす際に、「車のトランクにぶつけられて傷が付いた」と大騒ぎして修理代を請求する事故が急増しており、その車が有名なセダンタイプの高級車という共通点があるとかないとか、という噂です。

単なる噂では終わらず、新手の当たり屋なのかもしれないという警戒もあり、ゴルフ場側の防衛策として、車からの荷物の上げ下ろしにスタッフはノータッチで、客のセルフにしてもらうという実験的な試みが始まったそうです。実際にお願いをしてみたところ、特にクレームはなく、スタッフの負担も減って一石二鳥だから継続しようという流れがあちこちのゴルフ場で始まっている、というところまでがセットになって噂と一緒に広まっていました。

2023年に取材なども含めて行ったゴルフ場では、現実に『お荷物はセルフで』という立て札が立っているケースを複数のコースで見てビックリしたのですが、今になって一連の噂を思いだし一気に繋がりました。

元々、自分で荷物の上げ下ろしをしていた人からすれば関係ない話かもしれませんが、“キャディバッグなどの荷物は下ろしてくれるもの”、と思い込んでいたゴルファーにとってはサービスダウンで、世も末だと嘆いている人もいるようです。確かに車のタイプによってサービスに差があると、ラッキーとアンラッキーな気分になることもあると推測します。

事故を利用した詐欺は、あくまでも噂で、実際に事件になったという話は聞いていません。誰でも愛車に傷が付くのは嫌なものです。騒がなかっただけで、ゴルフコースの上げ下ろしで車に傷がついた経験をしたことがある人もいます。スタッフは細心の注意をしていますが、事故はゼロにはなりません。

今回、聞き込みをしてわかったのは「昔から上げ下ろしは、人任せにせずに自分でやっている」というゴルファーが想像以上に多かったこと。車も大事だけど、クラブもキャディバッグも大事だから、というのがその理由でした。本当に大事なのであれば人任せにしない、というのは正論です。

ゴルフコースの車寄せでのサービス、キャディバッグ等の荷物の積み下ろしがセルフに変わっていくのは、全体的な時代の流れでもありますし、すでにセルフになっているコースも多くあります。今回のケースでは、ゴルフ場側の事故防止、クレーム対策としての防衛策が結果的にセルフ推奨を加速させることになったわけです。

あなたは、今まで通りのサービス存続を望みますか? あるいはゴルファー自身の手ですべきだと思いますか? この問いに対する正解はすでに出ているような気がします。

(取材/文・篠原嗣典)

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